三井住友トラスト不動産

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不動産投資信託
読み:ふどうさんとうししんたく

投資信託のうち、不動産を運用の対象とするものをいう。

アメリカではREIT(Real Estate Investment Trust)、日本ではその日本版という意味でJREITと称される。

不動産投資信託は、不動産の証券化手法の一つであり、その仕組みとして、

1.資金を信託したうえでその資金を不動産投資として運用する方法(契約型)

2.投資家が特定の法人を設立して不動産投資を行なう方法(会社型)

とがある。実際に日本で行なわれている不動産投資信託の大部分は会社型であり、その担い手を投資法人と呼ぶ。

投資信託によって得る利益の原資は、投資対象となる不動産の賃料等から得られる収益である。また、不動産の証券化に当たっては、倒産隔離導管体機能などを確保することが必要となるが、投資信託は、制度的にこれらの要請を満たしている。

不動産投資信託は、日本では2000(平成12)年に解禁された。また、会社型の不動産投資信託は証券取引所に上場することができるとされ(銘柄は投資法人、上場して取引されるのは投資口である)、初めて上場したのは2001(平成13)年9月10日である。

不動産

不動産とは「土地及びその定着物」のことである(民法第86条第1項)。 定着物とは、土地の上に定着した物であり、具体的には、建物、樹木、移動困難な庭石などである。また土砂は土地そのものである。

JREIT

不動産投資信託のことで、アメリカのREIT(Real Estate Investment Trust)の日本版であることから、JREITと呼ばれる。 不動産を買収、賃貸して収益を得る専門の会社(投資法人)または同様の機能を担う信託会社が証券を発行し、金融商品として取引される。その発行主体がJREITであり、それぞれが運用する不動産の種類やその構成は異なる。証券は発行主体ごとに流通するが、証券取引所に上場されているものも多い。需給に応じて、その取引価格も日々変動する。 株式会社の利益の源泉は事業による収益であるが、JREITの利益は、不動産の賃貸や売買による収益から得られる。その収益は、課税されることなくほぼそのまま投資家に分配されることが特徴である。株式投資とJREIT投資とを比較すれば、株式会社、株券、株価、配当金に当たるのが、それぞれ、投資法人(または信託)、投資証券、投資口価格、分配金と考えてよい。 不動産の証券化の手法として中心的な役割を果たしており、2001(平成12)年9月に初めて上場されたがその後急速に拡大し、金融市場において一角を占めるに至っている。

不動産の証券化

不動産を流動化するための典型的な手法であり、不動産から価値を切り離したうえで、その価値を細分化し、証券の形で流通させることをいう。 その仕組みは、大まかには3つの段階によって構成される。 1.流動化の対象となる不動産をSPC等や信託受託者が譲渡を受ける。これによって元の資産保有者(オリジネーター)から不動産が切り離され、不動産そのものの価値(収益力・リスク等)が明確になる。 2.SPC等や信託受託者は、不動産から得られるであろう収益(インカムゲインとキャピタルゲイン)を裏づけとして証券(出資口・信託受益権等)を発行する。これによって、不動産の価値が細分化される。 3.証券を流通させる。 これによって、不動産が金融商品の形で取引されることになる。 このとき、それぞれの段階で仕組みを工夫し、元の不動産の価値を加工して、多様な不動産証券化商品を作り出すことができる。例えば、1.の段階では、異なる複数の不動産をプールしてリスクを分散すること、2.の段階では、収益の配分を優先・劣後の関係に構造化してリスクとリターンの異なる証券を発行することなどが行なわれている。また、3.の段階では、金融市場における不動産証券化商品の特性を明確にして、投資家による適正な判断を可能とするサービスなどが提供されている。さらに通常は、収益性を確保するために、不動産の運用は専門の運用者に委託される。 不動産の証券化において鍵となるのは、不動産からの収益を最適化するような不動産経営能力、および、不動産市場の動向を的確に把握するための市場情報である。しかしながら、その向上・充実を図るための仕組みは、現在、発展途上にある。

信託

財産権の移転その他の処分をなし、他人をして一定の目的に従いその財産の管理または処分をなさしめることをいう。 契約または遺言により自由に設定できる。ただし、信託を営利事業として営む場合にはさまざまな規制がある。 信託を構成するのは、特定の財産(信託財産)、財産を引き渡して管理・処分をなさしめる者(委託者)、それを委ねられる者(受託者)、その目的(信託目的)、そしてその目的に応じて成果を得る者(受益者)である。これによって、信託財産の所有権・管理処分権は受託者に帰属する一方、財産から生じる経済的な利益は受益者に帰属する。 信託の機能としては、受託者による有効な財産管理の実現(財産管理機能)、財産からの受益権の分離(転換機能)、財産が受委託者の財産から隔離・保護されること(倒産隔離機能)が重要である。また、受益者は委託者と別に存在する(もちろん委託者自身を受益者として指定してもよい)ため、信託契約の定めによって、受益する権利(信託受益権)を流通させることもできる。 委託者が自らを受益者として不動産を信託し、その後に受益権を分割して流通させれば、不動産の流動化・証券化が実現する。SPCに対応するのが受託者、SPCの発行する証券に対応するのが信託受益権証書であると考えればわかりやすい。実際にも、信託を活用した不動産の流動化・証券化の例は多い。 なお、信託の仕組みを定めた法律(信託法、1922(大正11)年制定)が、2006(平成18)年に制定以来初めて本格的に改正され、その活用の幅は大きく広がった。

投資法人(投資信託における)

会社型投資信託において、投資家の資金によって投資を行なう主体となる法人をいう。 その構成員は投資主であるが、意思決定機関として投資主総会、業務遂行機関として役員会が設置されている。 投資法人の設立には内閣総理大臣への登録が必要で、出資総額は1億円以上とされるなど、一定の要件を満たさなければならない。また、投資法人は、投資主に対して会計情報等を開示するなど、その業務運営に関して規制があり、金融商品取引法等によって金融庁等の監督を受ける。 なお、投資法人による投資運用は、実際には、投資信託委託業者が行なっている。例えば、不動産投資信託(JREIT)の場合には、不動産と金融に詳しい専門家がこれに当たることが多い。

賃料

賃貸借契約によって賃借人が支払う対価をいう。 特約がない限り後払いである。また、地代・家賃については、事情変更による増減請求権が認められている。 なお、借主が実質的に負担するのは、賃料に保証金、預かり金等の運用益を加えた額(実質賃料)である。また、共益費など賃料以外の負担を求められることも多い。

倒産隔離

資産(不動産)の証券化に当たってSPEが満たすべきとされる要件の一つで、その保有・運用する資産(不動産)を関係者の倒産等のリスクから切り離すことをいう。 企業が倒産すると、債権者や管財人は倒産企業が保有する資産や株主議決権などを活用して債権回収を図るが、SPEの保有・運用する資産に対してそのような追及が及べば投資家の利益を損なうことになる。倒産隔離は、そのような追及を防いで、保有・運用資産を法的に保護する仕組みである。 例えば、SPE自身の倒産リスクに対しては、他業規制(当初目的事業以外の禁止)などのほか、議決権を有する出資者を有限責任中間法人やケイマンSPC(ケイマン島に設立した特殊な法人)に限定して公正な第三者のみが議決権を持つようにする手法などが、オリジネーター(Originator)の倒産リスクに対しては、真正売買を確保するなどの方法が採用されている。

導管体

資産(不動産)の証券化に当たってSPEが満たすべきとされる要件の一つで、資産(不動産)から得られた利益をそのまま投資家に配分するための機能をいう。 通常、法人が事業利益を得るとその利益に対して法人税が課せられるが、税を支払えば投資家に配分できる利益は減少する。そこで、事業目的を投資家に利益を配分することに限定したSPEについては、一定の要件を満たせば法人税を課さないこととされている。その要件を満たすSPEは導管体としての機能を有することになる。 導管体には二つの種類がある。 一つは、その性格からそもそも法人税が非課税のもので、任意組合、匿名組合、信託(特定目的信託等は除く)がこれに相当する(パス・スルー型)。 もう一つは、法人税は課税されるが投資家に配分する利益を損金として控除できるため結果として課税されないもので、資産流動化法による特定目的会社や特定目的信託、投資信託および投資法人法による投資法人がこれに相当する(ペイ・スルー型)。この場合、配当可能所得額の90%を超える部分を配当に当てなければならないとされている。 いずれの場合も、利益を配分された投資家に対して課税されるのは当然である。

投資口

不動産投資信託において、投資家が投資法人に出資する単位のこと。通常の会社における「株式」に相当する。 投資法人は、投資家からの出資を集めて設立される法人であり、投資家が投資法人に出資する単位のことを「投資口」と呼んでいる。また、投資口を保有する投資家は「投資主」と呼ばれる。 証券取引所に上場されている不動産投資信託の場合、投資口の1口の価格(すなわち投資主の最低の投資額)は、おおむね20万円から100万円程度となっている。 投資主は保有する投資口の口数に応じて、投資法人から分配金を受け取ることができる。