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都市計画決定の告示
読み:としけいかくけっていのこくじ

都市計画の効力を発生させるための告示のこと。都市計画法第20条第1項の規定に基づく告示である。「都市計画の告示」とも呼ばれる。

都市計画の告示は、詳細な都市計画の決定手続を経た後に最終的に告示されるものである。
都市計画の告示のあった日から、都市計画が効力を生ずることとされている(都市計画法第20条第3項)。

また、この都市計画の告示のあった日から、都市計画施設の区域内の制限市街地開発事業の施行区域内の制限市街地開発事業等予定区域の区域内の制限などが適用されるという効果が生ずる。

都市計画

土地利用、都市施設の整備、市街地開発事業に関する計画であって、都市計画の決定手続により定められた計画のこと(都市計画法第4条第1号)。 具体的には都市計画とは次の1.から11.のことである。 1.都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(都市計画法第6条の2) 2.都市再開発方針等(同法第7条の2) 3.区域区分(同法第7条) 4.地域地区(同法第8条) 5.促進区域(同法第10条の2) 6.遊休土地転換利用促進地区(同法第10条の3) 7.被災市街地復興推進地域(同法第10条の4) 8.都市施設(同法第11条) 9.市街地開発事業(同法第12条) 10.市街地開発事業等予定区域(同法第12条の2) 11.地区計画等(同法第12条の4) 注: ・上記1.から11.の都市計画は、都市計画区域で定めることとされている。ただし上記8.の都市施設については特に必要がある場合には、都市計画区域の外で定めることができる(同法第11条第1項)。 ・上記4.の地域地区は「用途地域」「特別用途地区」「高度地区」「高度利用地区」「特定街区」「防火地域」「準防火地域」「美観地区」「風致地区」「特定用途制限地域」「高層住居誘導地区」などの多様な地域・地区・街区の総称である。 ・上記1.から11.の都市計画は都道府県または市町村が定める(詳しくは都市計画の決定主体へ)。

都市計画法

都市計画に関する制度を定めた法律で、都市の健全な発展と秩序ある整備を図ることを目的として、1968(昭和43)年に制定された。 この法律は、1919(大正8)年に制定された旧都市計画法を受け継ぐもので、都市を計画的に整備するための基本的な仕組みを規定している。 主な規定として、都市計画の内容と決定方法、都市計画による規制(都市計画制限)、都市計画による都市整備事業の実施(都市計画事業)などに関する事項が定められている。

都市計画の決定手続

都市計画を決定するための手続は、詳細に法定されている。具体的には次の通り。 1.都市計画の案の作成 都市計画の決定手続の第1段階として、都市計画の案を作成する。この時点で、都市計画の決定主体(都道府県または市町村)は、必要があると認める場合には、住民意見を反映させる措置(例えば公聴会の開催)を実施するものとされている(都市計画法第16条第1項)。 (地区計画等の都市計画の案については、市町村の条例にもとづき、必ず土地所有者等の意見を求めて案を作成しなければならない。また、市町村の条例に定めが あれば、住民や利害関係人は地区計画等の都市計画の案の内容そのものを市町村に申し出ることが可能である(都市計画法第16条第2項、第3項)) 2.都市計画の案に対する意見書提出 都市計画の決定主体は、都市計画の案を2週間、公衆の縦覧に供する(都市計画法第17条第1項)。この2週間の期間内に、住民および利害関係人は意見書を提出できる(都市計画法第17条第2項)。 (特定街区の案については土地所有者等の同意を要する。遊休土地転換利用促進地区の案については土地所有者等の意見を聴かなければならない(都市計画法第17条第3項、第4項)) 3.都道府県の決定手続 都道府県が決定主体であるときは、都道府県は関係市町村の意見を聴き、都道府県都市計画審議会の議決を経て、都市計画を決定する。 (都道府県の都市計画が、大都市とその周辺を含むとき、国の利害に重大な関係があるときに限り、都道府県は国土交通大臣と協議し国土交通大臣の同意を得なければならない(都市計画法第18条第3項)) 4.市町村の決定手続 市町村が決定主体であるときは、市町村は、市町村都市計画審議会(設置されていないときは都道府県都市計画審議会)の議決を経て、さらに知事と協議し同意を得て、都市計画を決定する。 注:市町村の都市計画は、原則的に知事との協議・同意が必要であるが、次の特例がある。 1)準都市計画区域における都市計画について:市町村は知事の意見を聴くだけでよい(知事との協議・知事の同意は不要である)(都市計画法第19条第5項)。 2)地区計画等について:市町村は「政令で定める地区施設の配置・規模等」についてのみ知事と協議し知事の同意を得ればよい(都市計画法第19条第3項))。 5.他の計画等との整合性 上記3.または4.で都市計画を決定する際に、その都市計画は、他の計画等との整合性を満たしたものでなければならない。具体的には次の通り。 1)都道府県が都市計画を決定する場合 全国総合開発計画・首都圏整備計画などの国土計画、地方計画に関する法律に基づく計画(公害防止計画を含む)、道路河川等に関する国の計画に適合することが必要である(都市計画法第13条第1項本文)。 2)市町村が都市計画を決定する場合 上記1)に加えて、都道府県の都市計画、市町村の建設に関する基本構想、市町村の都市計画に関する基本方針に適合することが必要である(都市計画法第15条第3項、第18条の2第4項)。 6.都市計画の告示 上記3.または4.で決定された都市計画を、都市計画の決定主体が正式に告示することにより、その告示の日から都市計画が効力を生ずる(都市計画法第20条第1項、第3項)。

都市計画施設の区域内の制限

都市計画の告示があった日から、都市計画で定められた都市施設の区域(※)において適用される建築制限のこと。 (※「都市計画で定められた都市施設の区域」は、「都市計画施設の区域」と呼ばれる(都市計画法第4条第6項)。例えば、新たに道路を作るという都市計画が告示された場合、その予定されている道路の敷地が「都市計画で定められた都市施設の区域」に該当し、「都市計画施設の区域」と呼ばれる) 1.趣旨 都市計画の告示(都市計画法第20条第1項)により都市施設の都市計画が正式に効力を生ずると、その都市施設の区域内では、近い将来において都市施設を実際に整備する工事等が実行されることとなる。 そこで、こうした将来の整備事業の実行に対して障害となる恐れのある行為(建築行為)は原則的に禁止しておくのが望ましい。このような理由により、都市計画の告示の日以降は、都市施設の区域では下記2.ら6建築制限が適用されるのである。 (なお、市街地開発事業の区域でも下記2.ら6同一の建築制限が行なわれる。「市街地開発事業の施行区域内の制限」参照) 2.建築制限のあらまし 都市計画の告示があった日以降、都市計画で定められた都市施設の区域において、建築物を建築するためには知事(指定都市等では市長)の許可が必要である(都市計画法第53条第1項)。この許可について次の点が重要である。 1)建築物の建築には許可が必要。ここで建築とは「新築、増築、改築、移転」を指す(都市計画法第4条第10項)。 2)土地の形質変更(宅地造成等)は許可が不要。工作物の建設も許可が不要。 3)容易に移転除却ができる建築物や都市計画に適合した建築物については、知事(指定都市等では市長)は必ず建築を許可しなければならない(下記3.へ)。 4)軽易な行為などを行なう場合には、知事(指定都市等では市長)の許可は不要(下記4.へ)。 5)知事(指定都市等では市長)が指定した土地(これを「事業予定地」という)では、上記3)が適用されない(下記5.へ) 6)都市施設の都市計画に「施行予定者」が定められている場合には、さらに厳しい制限が課せられる(下記6.へ) 3.建築が許可される要件 都市計画で定められた都市施設の区域で適用される建築制限は、将来の都市施設の整備の事業において障害になるような建築を排除する趣旨であるので、障害にならない建築については知事(指定都市等では市長)は必ず許可をしなければならない。具体的には、次の1)または2)のどちらか一方に該当すれば必ず許可される(都市計画法第54条)。 1)都市計画に適合すること(都市施設に関する都市計画に適合しているような建築は排除する必要がないので、許可される) 2)建築しようとする建築物の主要構造部が木造・鉄骨造等で、階数が2階以下で地階を有しないものであり、かつ容易に移転しまたは除却できること(木造・鉄骨造等とは「木造、鉄骨造、コンクリートブロック造、その他これらに類する構造」を指す。すなわち移転除却が容易な構造のこと) 4.建築許可が不要とされる要件 管理行為、軽易な行為、非常災害のため応急措置として行なう行為、都市計画事業の施行として行なう行為については、建築の許可が不要である(都市計画法第53条第1項)(軽易な行為として、「木造で階数が2以下で地階を有しない建築物の改築」「木造で階数が2以下で地階を有しない建築物の移転」が定められている(都市計画法施行令第37条))。 5.事業予定地について 都市施設の区域内において、知事(指定都市等では市長)が指定した土地を「事業予定地」という(都市計画法第55条第1項)。この事業予定地では、上記3.の要件を満たす建築であっても不許可となる場合がある(詳しくは事業予定地内の制限へ)。 6.施行予定者が定められている場合について 都市施設の都市計画において「施行予定者」が定められている場合には、さらに厳しい制限が課せられる(詳しくは市街地開発事業等予定区域の区域内の制限へ)。

市街地開発事業の施行区域内の制限

都市計画の告示があった日から、都市計画で定められた市街地開発事業の施行区域において適用される建築制限のこと。 (市街地開発事業の「施行区域」とは、市街地開発事業が実行される予定の区域という意味であり、市街地開発事業の「地理的な範囲」を指す言葉である(都市計 画法第12条第2項)。この「施行区域」において実際に工事等が開始されるのは、都市計画事業の認可を受けた日以降である。) 1.趣旨 都市計画の告示(都市計画法第20条第1項)により市街地開発事業の都市計画が正式に効力を生ずると、その市街地開発事業の施行区域内では、近い将来において市街地開発事業に関する工事等が実行されることとなる。 そこで、こうした将来の事業の実行に対して障害となる恐れのある行為(建築行為)は原則的に禁止しておくのが望ましい。このような理由により、都市計画の告示の日以降は、市街地開発事業の施行区域では下記2.から6.の建築制限が適用されるのである。 (なお、都市施設の区域でも下記2.から6.と同一の建築制限が行なわれる。「都市計画施設の区域内の制限」参照) 2.建築制限のあらまし 都市計画の告示があった日以降、市街地開発事業の施行区域において、建築物を建築するためには知事(指定都市等では市長)の許可が必要である(都市計画法第53条第1項)。この許可について次の点が重要である。 1)建築物の建築には許可が必要。ここで建築とは「新築、増築、改築、移転」を指す(都市計画法第4条第10項)。 2)土地の形質変更(宅地造成等)は許可が不要。工作物の建設も許可が不要。 3)容易に移転除却ができる建築物や都市計画に適合した建築物については、知事(指定都市等では市長)は必ず建築を許可しなければならない(下記3.へ)。 4)軽易な行為などを行なう場合には、知事(指定都市等では市長)の許可は不要(下記4.へ)。 5)知事(指定都市等では市長)が指定した土地(これを「事業予定地」という)では、上記ウ)が適用されない(下記5.へ)。 6)市街地開発事業の都市計画に「施行予定者」が定められている場合には、さらに厳しい制限が課せられる(下記6.へ)。 3.建築が許可される要件 市街地開発事業の施行区域内の建築制限は、将来の事業の実行において障害になるような建築を排除する趣旨であるので、障害にならない建築については知事(指定都市等では市長)は必ず許可をしなければならない。 具体的には、次の1)または2)のどちらか一方に該当すれば必ず許可される(都市計画法第54条)。 1)都市計画に適合すること(市街地開発事業に関する都市計画に適合しているような建築は排除する必要がないので、許可される) 2)建築しようとする建築物の主要構造部が木造・鉄骨造等で、階数が2階以下で地階を有しないものであり、かつ容易に移転しまたは除却できること(木造・鉄骨造等とは「木造、鉄骨造、コンクリートブロック造、その他これらに類する構造」を指す。すなわち移転除却が容易な構造のことである) 4.建築許可が不要とされる要件 管理行為、軽易な行為(※)、非常災害のため応急措置として行なう行為、都市計画事業の施行として行なう行為については、建築の許可が不要である(都市計画法第53条第1項)。 (※軽易な行為として「木造で階数が2以下で地階を有しない建築物の改築」「木造で階数が2以下で地階を有しない建築物の移転」が定められている) 5.事業予定地について 4種類の市街地開発事業の施行区域内の土地はすべて「事業予定地」と呼ばれる(都市計画法第55条第1項)(※1)。この事業予定地では、上記3.の要件を満たす建築であっても不許可となる場合がある(詳しくは事業予定地内の制限へ)。 (※1 4種類の市街地開発事業とは「市街地再開発事業」「住宅街区整備事業」「新住宅市街地開発事業」「工業団地造成事業」) 6.施行予定者が定められている場合について 市街地開発事業の都市計画において「施行予定者」が定められている場合には、さらに厳しい制限が課せられる(詳しくは市街地開発事業等予定区域の区域内の制限へ)。

市街地開発事業等予定区域の区域内の制限

都市計画の告示があった日から、市街地開発事業等予定区域において適用される制限のこと。 なお、「施行予定者」が定められている都市施設、「施行予定者」が定められている市街地開発事業についても同一の制限が適用される(詳しくは下記7.へ)。 1.趣旨 市街地開発事業等予定区域の都市計画が告示されると、その告示の日から3年以内に都市施設または市街地開発事業に関する「本来の都市計画」が決定される。さらにその後2年以内に、都市計画事業の認可が申請されなければならない。 従って、市街地開発事業等予定区域では早い時期に、都市施設整備事業・市街地開発事業に係る工事等が実際に開始される。 そこで、市街地開発事業等予定区域では、こうした近い将来の事業の実行に対して障害となる恐れのある行為を厳しく制限することにしているのである。 2.制限のあらまし 都市計画の告示があった日以降、次の1)および2)の制限が課せられる。その反面、次の3)により土地所有者は土地の買い取りを要求することができる。 1)建築物の建築、工作物の建設、土地の形質変更の制限(下記3.4.へ) 2)施行予定者による「土地建物等の先買い」(下記5.へ) 3)土地所有者から施行予定者に対する「土地の買取請求」(下記6.へ) 3.建築物の建築、工作物の建設、土地の形質変更の制限 都市計画の告示があった日以降、建築・建設・土地の形質変更を行なうには知事(指定都市等では市長)の許可が必要である(都市計画法第52条の2第1項)。この許可について次の点が重要である。 1)建築物の建築には知事(指定都市等では市長)の許可が必要。なお、ここでいう「建築」とは「新築、増築、改築、移転」を指す(都市計画法第4条第10項)。 2)工作物の建設、土地の形質変更(宅地造成等)にも知事(指定都市等では市長)の許可が必要。 3)容易に移転除却ができる建築物や都市計画に適合した建築物であっても、知事(指定都市等では市長)は建築を不許可とすることができる。 4)軽易な行為などを行なう場合には、知事(指定都市等では市長)の許可は不要(下記5.へ)。 4.許可が不要とされる要件 管理行為・軽易な行為、非常災害のため応急措置として行なう行為、都市計画事業の施行として行なう行為については、許可が不要である(都市計画法第52条の2第1項但書)。 管理行為・軽易な行為としては、「車庫、物置その他これらに類する附属建築物(木造で2階以下かつ地階を有しないものに限る)の改築または移転」などが定められている(都市計画法施行令第36条の2)。 5.土地建物等の先買い 土地建物等の有償譲渡(※)をしようとする者は、事前に施行予定者(国の機関・都道府県・市町村・その他の者)に届出をしなければならない。施行予定者は、この届出のあった土地建物等を優先的に買い取ることができる。 この先買い制度は、施行予定者が先買い制度に関する公告を行なった日の翌日から10日を経過した日から適用される(都市計画法第52条の3)。 (※)ここでいう「土地建物等の有償譲渡」とは「土地の有償譲渡」または「土地と建築物等を一体とした有償譲渡」を指す。従って、建築物のみを有償譲渡する場合には、先買い制度は適用されない。また有償譲渡とは「売却」「交換」を指す。 6.土地の買取請求 土地所有者は、施行予定者(国の機関・都道府県・市町村・その他の者)に対して、土地を時価で買い取るべきことを、いつでも請求できる。 ただし、その土地に建築物・工作物・立木法により登記された立木がある場合には、この買取請求ができない。また、その土地に他人の権利(地上権・賃借権・抵当権など)が設定されている場合にも、この買取請求ができない(都市計画法第52条の4)。 7.「施行予定者」が定められている都市施設・市街地開発事業について 「施行予定者」が定められている都市施設、「施行予定者」が定められている市街地開発事業については、都市計画法第60条の2第1項の規定により、都市計画の告示から2年以内に都市計画事業の認可を申請しなければならない。このため、厳しい制限を課す必要があるので、上記2.から6.とまったく同一の制限が課せられている(都市計画法第57条の2から第57条の5まで)。 (なお、施行予定者が定められていない都市施設・市街地開発事業については「都市計画施設の区域内の制限」「市街地開発事業の施行区域内の制限」を参照のこと)