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宅地建物取引士の登録の基準
読み:たくちたてものとりひきしのとうろくのきじゅん

宅地建物取引士資格試験の合格者が、宅地建物取引士の登録を受けるにあたって満たすべき基準のこと。

宅地建物取引士資格試験の合格者が、宅地建物取引士の登録を受けるためには、一定の不適格な事情(登録の欠格事由)に該当しないことが必要とされている(法第18条第1項各号)。
具体的には、次の1.から5.の欠格事由に該当しない場合にのみ登録を受けることができる。

1.成年被後見人被保佐人、破産者で復権を得ない者(法第18条第1項第1号、第2号)
これらの者は登録を受けることができない。

2.免許取消し処分を受けた宅地建物取引業者
悪質な違反行為(法第66条第1項第8号、第9号)を犯したことを理由として、免許の取消処分を受けた個人業者、免許の取消処分を受けた法人の役員は、当該免許の取消処分の日から5年間は、宅地建物取引士の登録を受けることができない(法第18条第1項第3号、第4号)。

このほか、役員の連座、免許取消し処分を不当にまぬがれるための廃業等(法第18条第1項第5号)についても詳細な規定が設けられている。

3.懲役刑、禁固刑、一定の罪に対する罰金刑を受けた者
一定の刑事罰を受けた経歴がある場合には、刑の執行を終えた日(または刑の執行を受けることがなくなった日)から5年間は、登録を受けることができない(法第18条第1項第6項、第7豪、第8豪)。

4.登録消除処分を受けた者等
一定の悪質な違反行為(法第68条の2第2号、第3号、第4号など)を犯したことを理由として、登録の消除の処分を受けた個人は、当該登録の消除の処分の日から5年間は、宅地建物取引士の登録を受けることができない(法第18条第1項第9号)。

このほか、登録消除処分を不当にまぬがれる目的で登録の消除を申請した場合(第10号)、事務禁止処分の期間中に登録の消除を申請した場合(第11号)などに関する詳細な定めがある。

5.営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者(法第18条第1項第1号)
未成年者が登録を受けるためには「宅地建物取引業の営業に関して成年者と同一の能力を有すること」が必要とされる。
「成年者と同一の能力を有する」とは、「法定代理人より営業を許可されていること」または「婚姻により成年と同一の能力を獲得していること」を指している。
(詳しくは未成年者へ)

宅地建物取引士資格試験

宅地建物取引業法第16条第1項にもとづき、都道府県知事が実施する資格試験。宅地建物取引業に関して必要な知識について行なわれる試験である。 年齢、学歴、宅地建物取引業に関する実務経験などによる受験資格の制限は一切ないので、誰でも受験することができる(ただし試験を受けようとする都道府県内に居住していることが条件となっている場合が多い)。 なお、一定の実務経験を有し、登録講習機関が実施する講習(登録講習)を受けた者については、試験の一部を免除する制度が設けられている(宅地建物取引業法第16条第3項)。

宅地建物取引士の登録

宅地建物取引士資格試験に合格した者が、宅地建物取引士として業務に従事するのにふさわしい資格等を有していることを都道府県知事が確認する手続きのこと(宅地建物取引業法第18条、第19条)。具体的には次のとおりである。 1.登録を申請する相手方 宅地建物取引士資格試験に合格した者が、試験を行なった都道府県知事に対して登録を申請する(宅地建物取引業に従事しようとする都道府県の知事ではないことに注意)。 2.登録を受けるための要件 宅地建物取引士の登録を受けるには次の1)と2)の要件を満たすことが必要である。 1)宅地建物の取引に関して2年以上の実務経験を有すること 宅地建物取引業者の下で2年以上勤務していた経験(または免許を受けた宅地建物取引業者としての2年以上の経験)が必要である。 ただし、(公財)不動産流通推進センターが実施する実務講習を受講し修了することにより、この実務経験を有するものと同等以上の能力を持つ者として認定されることができる。 (詳しくは、実務経験、実務講習へ) 2)一定の不適格な事情(欠格事由)に該当しないこと 成年被後見人であることなどの一定の不適格な事情(欠格事由)がある者は、登録を受けることができないとされている。 (詳しくは宅地建物取引士の登録の基準へ) 3.登録の申請の方法 宅地建物取引士資格試験に合格した者が、試験を行なった都道府県知事に対して、一定の事項を記載した登録申請書を提出する(法第19条第1項、施行規則第14条の3、施行規則様式第5号)。このとき実務経験証明書などの一定の書類の添付が必要である(施行規則第14条の3)。 4.宅地建物取引士資格登録簿への登載 登録申請書を提出された都道府県知事は、上記2.の要件を満たしていることを確認した後に、宅地建物取引士資格登録簿に一定の事項を遅滞なく登載する(法第19条第2項)。 これにより宅地建物取引士の登録が完了する。 (詳しくは宅地建物取引士資格登録簿へ) 5.変更の登録 宅地建物取引士資格登録簿の登載事項(氏名、住所など)に変更が生じた場合には、登録を受けている本人が遅滞なく変更を申請しなければならない(法第20条)。これを「変更の登録」と呼んでいる。 (詳しくは変更の登録(宅地建物取引士の~)へ) 6.登録の移転 宅地建物取引士の登録を受けた者は、一定の事情が発生したときは、他の都道府県知事に対して登録の移転を申請することが可能である。 (詳しくは宅地建物取引士の登録の移転へ) 7.死亡等の届出 宅地建物取引士の登録を受けた者について、死亡等の事情が発生した場合には、登録を受けている都道府県知事への届出が必要である。 (詳しくは死亡等の届出へ) 8.登録の消除 上記7.の死亡等の届出があった場合やその他の場合には、登録を受けている都道府県知事は、宅地建物取引士の登録を消除しなければならない。 (詳しくは宅地建物取引士の登録の消除へ) 9.登録の有効期間 有効期間の制限はないので、一度登録すれば生涯にわたって有効である。ただし、上記8.により消除される場合あり。 10.宅地建物取引士との関係 宅地建物取引士の登録を受けた者は、宅地建物取引士証の交付を受けることによって、初めて宅地建物取引士となることができる(宅地建物取引士の登録を受けただけでは、まだ宅地建物取引士ではない)。

宅地建物取引士

宅地建物取引士資格試験に合格し、都道府県知事の登録を受けて、宅地建物取引士証の交付を受けた者のこと。 一定以上の知識・経験を持つ者として公的に認められた者である。宅地建物取引業者は、事務所ごとに従事者5名に対して1名以上の割合で、専任の宅地建物取引士を置かなければならない(詳しくは宅地建物取引士の設置義務へ)。 宅地建物取引において特に重要な次の3つの業務は、宅地建物取引士だけが行なうことができるとされている(宅地建物取引士ではない者はこれらの業務を行なうことができない)。 1.重要事項説明 2.重要事項説明書への記名・押印 3.37条書面への記名・押印 宅地建物取引士となるためには、具体的には次の1)から5)の条件を満たす必要がある。 1)宅地建物取引士資格試験に合格すること 宅地建物取引業に関して必要な知識に関する資格試験である宅地建物取引士資格試験に合格することが必要である。なお、一定の要件を満たす者については宅地建物取引士資格試験の一部免除の制度がある。 2)都道府県知事に登録を申請すること この場合、宅地建物取引に関して2年以上の実務経験を有しない者であるときは、「登録実務講習」を受講し修了する必要がある。 3)都道府県知事の登録を受けること 登録を受けるには一定の欠格事由に該当しないことが必要である。 4)宅地建物取引士証の交付を申請すること 宅地建物取引士証の交付を申請する日が宅地建物取引士資格試験に合格した日から1年を超えている場合には、都道府県知事の定める「法定講習」を受講する義務がある。 5)宅地建物取引士証の交付を受けること 氏名、住所、生年月日、有効期間の満了する日等が記載されている宅地建物取引士証の交付を受けて初めて正式に宅地建物取引士となる。 宅地建物取引士は、宅地建物の取引の専門家として、購入者等の利益の保護および円滑な宅地建物の流通に資するよう公正誠実に業務を処理するほか、信用・品位を害するような行為をしないこと、必要な知識・能力の維持向上に努めることとされている。

成年被後見人

精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる(民法第7条)。 後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する(民法第8条)。 家庭裁判所は、後見開始の審判をするときは、職権で、成年後見人を選任する(民法第843条)。 こうした手続きにより後見人を付けられた者のことを「成年被後見人」と呼ぶ。 また、成年被後見人に付けられる後見人は「成年後見人」と呼ばれる。この「成年被後見人」の制度は、2000(平成12)年の民法改正によって創設されたもので、それ以前は「禁治産者」という名称であった。 成年被後見人は法律行為を有効に行なうことができないものとされているので、どんな法律行為でも原則的に後で取り消すことが可能である(ただし日用品の購入などは有効に自分で行なうことができる)(民法第9条)。 従って、成年被後見人との契約を行なうには、その成年後見人を代理人として契約を行なうべきである(民法第859条)。

被保佐人

精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる(民法第11条)。 家庭裁判所は、保佐開始の審判をするときは、職権で、保佐人を選任する(民法第876条の2)。 こうした手続きにより保佐人を付けられた者のことを「被保佐人」と呼ぶ。 保佐とは「たすける」という意味である。 この「被保佐人」の制度は、2000(平成12)年の民法改正によって創設されたもので、それ以前は「準禁治産者」という名称であった。 被保佐人は、財産に関わる重要な法律行為(不動産売買や不動産賃貸借など)を自分だけでは有効に行なうことができない。 こうした重要な法律行為を行なうには保佐人の同意が必要であり、もし保佐人の同意を得ないで重要な法律行為を行なった場合には、後でその法律行為を取り消すことが可能である。 ただし重要でない法律行為や、日用品の購入などは有効に自分だけで行なうことができる(民法第13条)。 従って、被保佐人との契約を行なうには、その保佐人の同意を必ず取得するべきである。

宅地建物取引業者

宅地建物取引業者とは、宅地建物取引業免許を受けて、宅地建物取引業を営む者のことである(宅地建物取引業法第2条第3号)。 宅地建物取引業者には、法人業者と個人業者がいる。 なお、宅地建物取引業を事実上営んでいる者であっても、宅地建物取引業免許を取得していない場合には、その者は宅地建物取引業者ではない(このような者は一般に「無免許業者」と呼ばれる)。

免許

「宅建免許」を参照。

法人

私法上の概念で、自然人以外で、法律上の権利・義務の主体となることを認められた団体・財産をいう。 法人の設立は、法律の規定によらなければならないとされている。 例えば、一般社団法人、一般財団法人、株式会社、学校法人、宗教法人、管理組合法人などはすべて法人である。

免許の基準(役員の連座)

宅地建物取引業を営もうとする者(個人または法人)が、宅地建物取引業の免許を申請した場合には、国土交通大臣または都道府県知事は、一定の事由に該当する場合には、免許を与えることができないとされている(宅地建物取引業法)。 この免許の欠格事由の一つとして、一定の悪質な事情により過去に免許の取り消しをされた法人において、一定期間内にその法人の役員であった者は、その法人の免許の取り消しから5年を経過しない間は、個人として免許を受けることができないとされている。 (1)役員の範囲について役員とは、その名称の如何を問わず、実質的な支配力を有する者を含む。(「役員(免許の基準における~)」を参照) (2)過去における法人の免許の取り消しの事由について次の1)・2)・3)に該当する事由によって法人の免許が取り消された場合には免許を受けることができない。 1)法人が、不正の手段により免許を受けたために、免許を取り消されたこと 2)法人が、業務停止処分に該当する行為を行ない、特に情状が重いために、免許を取り消されたこと 3)法人が、業務停止処分を受けて、業務停止処分に違反したために、免許を取り消されたこと (3)その法人の役員であった時期について次の時期にその法人の役員であった者が連座の対象となる。 i)法人の免許が取り消された時点 ii)法人の免許の取り消ししに係る「聴聞の期日および場所」が公示された日の前60日から、法人の免許の取り消しまでの期間 なお、聴聞の公示日以降に宅地建物取引業を廃業しまたは法人を解散して、免許取消処分を不当に免れようとする法人の役員についても同様の役員連座規定が設けられている。(「免許の基準(廃業等)」を参照)

登録の消除(宅地建物取引士の~)

宅地建物取引士の登録を受けている者について一定の事情が発生した場合に、都道府県知事が宅地建物取引士の登録を消除すること。 死亡等の届出(宅地建物取引業法第21条)にもとづいて消除する場合と、職権により消除する場合がある。 (詳しくは宅地建物取引士の登録の消除へ)

事務禁止処分

宅地建物取引士に対して、期間を定めてその事務を行なうことを禁止する命令をいう。 通常は、名義貸し、不正・不当な行為などによって指示処分を受けたにもかかわらずそれに違反した場合に処せられるが、行為等が悪質な場合には指示処分を経ずに事務禁止処分となることもある。 事務禁止処分に違反したときには過料に処せられる。また、事務禁止処分に処せられたときはすみやかに宅地建物取引士証を交付を受けた知事に提出しなければならない。 なお、事務禁止処分に違反した場合や行為が特に悪質な場合などは、登録抹消処分に処せられることもある。

宅地建物取引業

宅地建物取引業とは「宅地建物の取引」を「業として行なう」ことである(法第2条第2号)。 ここで「宅地建物の取引」と「業として行なう」とは具体的には次の意味である。 1.「宅地建物の取引」とは次の1)および2)を指している。 1)宅地建物の売買・交換 2)宅地建物の売買・交換・貸借の媒介・代理 上記1.の1)では「宅地建物の貸借」が除外されている。このため、自ら貸主として賃貸ビル・賃貸マンション・アパート・土地・駐車場を不特定多数の者に反復継続的に貸す行為は、宅地建物取引業から除外されているので、宅地建物取引業の免許を取得する必要がない。 またここでいう「宅地」とは、宅地建物取引業法上の宅地を指す(詳しくは「宅地(宅地建物取引業法における~)」を参照のこと)。 2.「業として行なう」とは、宅地建物の取引を「社会通念上事業の遂行と見ることができる程度に行なう状態」を指す。具体的な判断基準は宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方の「第2条第2号関係」に記載されているが、主な考え方は次のとおりである。 1)取引の対象者 広く一般の者を対象に取引を行なおうとするものは事業性が高く、取引の当事者に特定の関係が認められるものは事業性が低い。 2)取引の反復継続性 反復継続的に取引を行なおうとするものは事業性が高く、1回限りの取引として行なおうとするものは事業性が低い。

法定代理人

「法定代理人」とは、法律の規定によって定められた代理人という意味である。 これに対して、当事者同士の合意によって定められた代理人は「任意代理人」と呼ばれる。 具体的には、民法にもとづく法定代理人には次の3種類がある。 1.親権者 2.未成年後見人 3.成年後見人 1.および2.は、未成年者の法定代理人である。 また3.は、成年被後見人の法定代理人である。 このような法定代理人には、未成年者・成年被後見人の財産を管理し、法律行為を代表するという大きな権限が与えられている(民法824条、859条)。

未成年者

民法上、満18歳の誕生日を迎える前の者をいう。 未成年者が契約をなすには、親権者または未成年後見人(「法定代理人」と総称する)がその契約に同意することが必要である。この同意を得ないで未成年者が契約をした場合には、未成年者はこの契約を取り消すことができる。 なお、2022年3月31日までは、婚姻をした者は、満20歳未満であっても「未成年者」でなくなる制度があった(成年擬制)。