不動産売却・購入の三井住友トラスト不動産:TOPお役立ち情報税理士が教える 相続税増税の時代を迎えて 押さえておきたい『贈与』の基礎知識

専門家がレクチャー

弁護士が教える 遺言通りにならないケースも!遺産相続の際に相談が多い「遺留分」「寄与分」とは?

相続税の節税対策として、子どもや孫世代に向けての贈与が注目を集めています。
優遇制度もあり、積極的に検討している人も多いのではないでしょうか。
しかし、節税ばかりを考えて、老後の生活が苦しくなるなど、
本末転倒になってしまっては意味がありません。
今回、相続や贈与、不動産関連の税金に詳しい、税理士の山端康幸先生に、
贈与に関する基礎知識をレクチャーしていただきました。

税理士が教える 相続税増税の時代を迎えて 押さえておきたい『贈与』の基礎知識

相続税の節税対策として、子どもや孫世代に向けての贈与が注目を集めています。
優遇制度もあり、積極的に検討している人も多いのではないでしょうか。
しかし、節税ばかりを考えて、老後の生活が苦しくなるなど、 本末転倒になってしまっては意味がありません。
今回、相続や贈与、不動産関連の税金に詳しい、税理士の山端康幸先生に、 贈与に関する基礎知識をレクチャーしていただきました。

山端 康幸先生

税理士法人東京シティ税理士事務所

税理士山端 康幸 先生

東京シティ税理士事務所 代表 昭和51年やまはた康幸税理士事務所開設独立。平成14年より現職。土地譲渡の税金・相続税・マイホームの税金・土地の有効活用・アパートマンションオーナーの税金問題を得意とする。著書に『贈与の手続きと節税がぜんぶ分かる本』(あさ出版)他。

LECTURE1

相続税の課税強化後の
注意点とは?

山端先生「2015年1月に始まった相続税の課税強化により、それまでは主に富裕層対象と考えられてきた相続税が、一般のサラリーマン世帯でも課せられるケースが増えています。私の事務所でも新税制による申告のご相談を受けていますが、課税強化により相続税を支払うことになった方がすでにいらっしゃいます」

やはり、被相続人が地価の高い都市部に不動産を持つケースが中心でしょうか。

山端先生「そうですね。東京23区内で敷地面積50坪程度の少し広めの不動産を相続し、課税対象になったケースがありました」
「改正前の基礎控除額は『5000万円+(1000万円×法定相続人の数)』。一方、改正後は『3000万円+(600万円×法定相続人の数)』となりました。もちろん、配偶者控除(配偶者に対する相続税額の軽減)や小規模宅地等の特例(一定の要件の元に不動産の評価減)がありますので、遺産が基礎控除額をオーバーしたからと言って、必ず相続税が課せられるとは限りません。ただし、条件によっては特例が適用できないので、相続税を払うケースが増えていることは確かです」

相続税は、いつまでに支払わなくてはいけないのでしょうか?

山端先生「被相続人が亡くなったことを知った日から、10か月以内に申告・納付を済ませることとされています」

10か月ですか? 意外と短いですね。親が亡くなり何かと大変な時期に、相続のことを考えなくてはいけないのは負担が大きいですね。

山端先生「相続開始から10か月以内に申告を行わず、相続税を支払わない場合は、無申告加算税や延滞税という罰金が加算されます。その場合、特例も利用できなくなるので注意が必要です」

不動産が主な相続財産で、預貯金は少なかった場合、すぐにまとまったお金を用意するのが難しいと思うのですが…

山端先生「その場合、銀行からお金を借りて支払うことが多いです。その後、不動産を処分したお金で精算することになります。いわゆる“つなぎ融資”ですね。今は、相続税の延納時の利子税は銀行の金利よりも高いので、借りて払った方が得な時代だと言えます」

子どもや孫世代への贈与を促進する制度が増えています(イメージ)

LECTURE2

子ども・孫世代への贈与には
優遇制度がある

相続税の節税対策として、子どもや孫世代に向けての贈与が注目を集めているそうですね。生きているうちに贈与して財産を減らしておけば、相続税も減らせるし、子や孫世代のためにもなるという発想だと思うのですが。

山端先生「そうですね。高齢者世代はそのような動機で贈与を考えると思います。また、これは国策とも関連しています。日本の家計金融資産の多くは、60歳以上の高齢者が保有しているのをご存知でしょうか? 国は経済活性化の観点から、高齢者世代の資産を早いうちに若い世代に移転させるため、贈与に関する税制を改正し、子や孫への贈与をしやすくしているわけです。わかりやすいところで言うと、2015年1月1日以降は、贈与税率は『一般税率』と『特例税率』に分けられ、父母や祖父母が子ども、孫世代に贈与する場合は『特例税率』として低い税率が適用されます。ほかにも優遇制度がありますのでご紹介しましょう」

【住宅取得等資金贈与 3000万円まで非課税】…平成31年6月30日までの贈与に適用
20歳以上の子や孫が自分の住まいを取得するために、父母や祖父母から購入資金の贈与を受ける場合に使える制度。平成27年12月31日までに契約した場合、省エネなど一定の性能を満たした良質な住宅には、1500万円(それ以外の住宅は1000万円。契約年度によって金額に変動あり)の非課税限度額が設けられています。非課税限度額は、住宅の種類や住宅用家屋の取得等に係る契約の締結がいつになるかにより異なります。また、消費税が10%となった場合、「特別住宅資金非課税限度額」(最高3,000万円)が定められています。なお、床面積など一定の条件があります。

【教育資金贈与 1500万円まで非課税】…平成31年3月31日までに専用口座に預け入れした財産に適用
子や孫の教育資金のため、父母や祖父母が金融機関に資金を入金。贈与された側が、教育目的のために使ったという領収書を金融機関に提出することで、払い出しが可能になります。学校の入学金や授業料のほか、通学定期券代や塾の費用も対象になります。贈与を受ける人は30歳未満に限られ、30歳に達した時の残額は贈与税の課税価格に算入されます。

【結婚・子育て資金贈与 1000万円まで非課税】…平成31年3月31日までに専用口座に預け入れした財産に適用
子や孫の結婚・子育て資金のため、父母や祖父母が金融機関に資金を入金。贈与された側が、結婚や子育てのために使ったという領収書を金融機関に提出することで、払い出しが可能になります。婚礼費用は最大300万円まで、それ以外の費用(出産、子の保育園料や医療費等)を含めて合計最大1,000万円までが対象になります。贈与を受けた人が50歳になった時点の残額には贈与税が課税され、贈与者が亡くなり残額がある場合は、贈与者の相続財産となります。

子どもや孫世代への優遇策が目白押しですね。かわいい孫のために…と奮発するシニア世代が増えると思われますが、若い世代が甘えてしまいそうでちょっと心配な気もします。

山端先生「【ジュニアNISA】の新設もニュースになりました。2016年1月より口座受付、4月より実際に投資に活用できるようになります。0歳から19歳までの未成年が対象で、非課税枠が年間80万円までに抑えられています。子どもが3月31日に18歳になる年の1月1日以降になるまで、原則として払い出しは不可となっています」

子どもが大学生になるまでの間の、引き出せない預金のようなものですね。実態としては、子ども名義の教育資金を管理するものだと考えればよさそうです。

後々のトラブルを防ぐためには遺言をきちんと残しておくことです(イメージ)

LECTURE3

ライフプランをしっかり立てた上で、
節税という発想を

山端先生「前項でご紹介したように、贈与税の優遇制度は増えています。子どもや孫のために、自分たちの資産を活かそうという思いは尊いものですが、ここで気をつけたいのは、老後のライフプランをしっかり立てておくことです」

確かに、子どもや孫世代にお金を渡し過ぎて、自分たちの老後の資産が足りなくなったのでは本末転倒です。

山端先生「特に、戦中・戦後のモノのない時代を経験している世代は、つましい生活に慣れていて、自分たちのためにお金を使おうという意識が少ないんですね。せっかく自分たちの築いた財産なのですから、古い家を暮らしやすくリフォームするなど、自分たちのためにお金を生かすという発想もしていただけるといいのですが」

本当ですね。子どもや孫世代が親の財産に甘えることに慣れてしまうと、生活力が無くなっていく気がします。

山端先生「相続や贈与に関しては、経営者ではなく一般のサラリーマンが税理士に相談するなんて…と遠慮している方も多いようです。でも、そんなことはありません。私の事務所でも、一般の方々の相談を数多くお受けしています」
「また、相続が発生してからでは遅いことも多いのです。多くの問題は、親世代が遺言状を書いていないことから起きています。兄弟姉妹ができるだけ平等に相続できるよう、きちんと遺言を残すことを第一に、節税対策はその次くらいに考えていただきたいですね」

贈与に関する特例等が増えている今、子どもや孫世代へ財産を移すことを中心に考えがちです。でも、あまり策に溺れず、まずは親世代の老後の暮らしの安定や、スムーズな相続のための遺言について考えることが大切ですね。やはり、プロの知識が不可欠な分野ですから、資産活用や相続・贈与の事例に経験豊富な税理士の先生に相談することが大事だと感じました。

(作成日 2016年4月5日)