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専門家がレクチャー

弁護士が教える 遺言通りにならないケースも!遺産相続の際に相談が多い「遺留分」「寄与分」とは?

土地や建物の取引を行う際に、必ず発生する『不動産登記』。
そもそも登記って何? なぜ必要なの?
気をつける点は?
そんな素朴な疑問を、司法書士の先生に伺ってみました。
これから先、不動産の売買をするかもしれない…
あるいは、不動産の相続の可能性がある…という方に、
ぜひ知っておいていただきたいお話です。

不動産の『登記』について知っておきたい、これだけのこと

土地や建物の取引を行う際に、必ず発生する『不動産登記』。
そもそも登記って何? なぜ必要なの?
気をつける点は?
そんな素朴な疑問を、司法書士の先生に伺ってみました。
これから先、不動産の売買をするかもしれない…
あるいは、不動産の相続の可能性がある…という方に、
ぜひ知っておいていただきたいお話です。

徳田 友夫先生

司法書士法人 東西合同事務所

司法書士徳田 友夫 先生

司法書士法人東西合同事務所 東京オフィス所長。 不動産、不動産の証券化における信託・受益者変更登記、商業登記等多岐に亘る登記業務に精通。

LECTURE1

土地や建物の所有者をはっきりさせるために『登記』を行う

今回お話を伺ったのは、司法書士の徳田友夫先生。司法書士の主な仕事の一つに、不動産登記簿の権利関係部分に関する書類の作成や、申請代理業務があります。登記の専門家である先生に、不動産登記の基本的な知識についてレクチャーしていただきました。

徳田先生「一般の方は、不動産の登記簿を目にすることは滅多にないですよね。一生のうちで登記簿を見る機会としては、不動産の売買のときか、住宅ローンを払い終わったとき、あるいは相続が発生したときくらいでしょうか」

そもそも、登記簿とはどういうものなのでしょうか?

徳田先生「土地や住宅などを取得した際は、その不動産の所在地を管轄する法務局で、登記手続きを行います。国が登記制度を設けたのは、土地や建物の所有者が誰なのかをはっきりさせるためです。不動産は名前を書いたり、持ち歩くことはできませんから(笑)」
「土地や建物の所在地・面積のほか、所有者の住所・氏名などを記載したのが不動産登記簿です。不動産登記簿は一般に公開されており、誰でも見ることができます」

戸籍や住民票の情報と違い、誰でも見られるものなんですね。

徳田先生「実は近年、登記情報のコンピュータ化が行なわれました。すでに、従来の登記簿はコンピュータ上の登記記録に置き換えられています。ですから、正式には登記簿とは言わず『登記記録』といいます。今でも『登記簿謄本』『登記簿抄本』という言葉が残っていますが、これらは現在『登記事項証明書』となっています」

『登記簿』という言葉の方が馴染みがありますが、今は『登記記録』に代わっているということですね。

徳田先生「同様に、以前は所有権取得の登記が完了した際に、法務局から『登記済権利証』が発行されていました。これも今は『登記識別情報』に代わっています。『登記識別情報』は物件や登記の内容とともに通知された情報(英数字等の12桁の符号)で、本人確認をするためのパスワードとして必要になります」

不動産の売買契約時には、司法書士の立会いが基本。プロによるチェックが安心につながります(イメージ)

LECTURE2

『登記事項証明書』に記されている内容とは

『登記事項証明書』には、どのような内容が書かれているのでしょうか?

徳田先生「『登記事項証明書』は、表題部、権利部(甲区)、権利部(乙区)の3つに分かれています。土地の場合、表題部には所在、地番、地目(宅地、畑など)、地積(面積)、登記の日付などが記されています。建物の場合、表題部には所在、家屋番号、種類(居宅、店舗など)、構造、床面積、登記の日付などが記されています」
「甲区は、所有権に関することが記されています。所有者の住所・氏名、共有者がいる場合にはそれぞれの持分が明記されます。差し押さえなどがあった場合もここに記されます。乙区は、住宅ローンを借りたときの抵当権などが記されます。われわれ司法書士が関わるのはこの甲区・乙区の部分です」

もし、不動産を買う場合、『登記事項証明書』のどの部分をチェックすべきなのですか?

徳田先生「まずは、不動産の売買契約書の売主と、『登記事項証明書』の所有者が一致しているかどうか、ですね。意外とあるのは、共有者がいるにも関わらず、共有者の一方の名前だけで契約書を交わしてしまうケースです。この場合、売買契約書は、契約書に署名をしていない共有者の持分については無効になってしまいます」

後々そのような事態が発覚したら、困ってしまいますね。売買を知らされていなかった共有者とのトラブル発生、ということもありそうです。

徳田先生「そのため、不動産売買契約にあたっては、司法書士の立会いが基本になっています。司法書士は『登記事項証明書』に記載されているすべての所有者に、必ず売買の意思確認を行います。遠方にいる場合は、必要に応じて出向いて面談することになります」

所有者が高齢の場合は、意思確認が大変なケースもありそうですが…。

徳田先生「そうなんです。最近は、不動産の所有者の高齢化が問題になっています。認知症の場合などは、ご本人の意思確認ができませんので…。しかし、家族の要望でご本人を施設等に入所させるため、やむを得ず不動産を売却しなければならないといったケースはあると思います。その際は、成年後見制度を利用していただくことになります。ただし、居住用の不動産を売却する場合は家庭裁判所の許可が必要となりますので注意が必要です」

このほか、過去に差し押さえにあったときの記載が、消し忘れによって残ったままというケースなど、意外な落とし穴もあるとのこと。普段見慣れない書類だけに、プロの目で隅々まで確認してもらうことが大事だといえます。

一生に何度もあるわけではない、不動産の売買や相続。登記関連のみならず、プロの目によるチェックが必要です(イメージ)

LECTURE3

知っておきたい、登記関連のトラブル事例

徳田先生「ところで、『登記事項証明書』の権利部(甲区・乙区)には、登記の義務がないことをご存知でしょうか?登記申請を行わなくても、罰則はないのです」

登記をしなくてもいい、ということですか?たとえば、BさんがAさんから中古住宅を買った場合、登記申請をしなければ、登記上はAさんが持ち主のままとなってしまいますね。

徳田先生「はい。AさんからBさんに所有者が変わったことを申請する『所有権移転登記』を行わなければ、登記上はAさんの土地・建物のままということになります。登記上の記載がなければ、第三者に対抗することが困難になります。たとえば、Aさんに悪意があって、Cさんに土地・建物を二重譲渡して所有権移転登記を行ってしまった場合。所有者はCさんということになってしまいます。ひとたび登記が完了したら、それを覆すにはCさんに協力してもらうか、裁判が必要となります」

こわいですね。義務がない、罰則がないとはいえ、きちんと行うべきだと感じます。面倒だからと後回しにしてよいことではないですね。

徳田先生「また、相続が発生した場合、遺産分割協議書を作成せず、相続登記も行わないままで放置してしまうと、後の代の人たちが苦労することになります。結婚により家族が枝分かれして増えていくと、相続関係者もどんどん増え、その中には実際に会ったことのない人まで含まれることもまれではありません。遺産分割協議による相続登記をするためには、相続人全員から実印をもらう必要があります。音信不通の人がいた場合は、遺産分割による相続登記は大変困難になってしまいます」

気が遠くなる話です…。やはり、登記はすぐに行うことが大事ですね。

徳田先生「そうですね。ちなみに、不動産をお持ちの方におすすめしたいのは、一度、司法書士などのプロに『登記事項証明書』をチェックしてもらうことです。現状と内容が合っていることがわかれば、安心できますから」

不動産をもっている人は、その道のプロに“正しい登記”がされているかを見てもらうべし、ということですね。本日はどうもありがとうございました!

(作成日 2014年12月19日)