不動産売却・購入の三井住友トラスト不動産:TOPお役立ち情報不動産鑑定士が教える 不動産鑑定のプロに聞く!『土地や建物の価格』はどのようにして決まる?

専門家がレクチャー

土地や建物には“定価”がないために、提示されている価格が適正なのか
判断が難しいもの。
土地や建物そのものが持つ条件だけでなく、景気など世の中の動きにも
影響を受けるため、
思わぬことで価格が変動するのもまた事実です。

今回は、不動産評価のプロである不動産鑑定士の先生に、土地や建物の
価格はどのようにして決まるのか、わかりやすく教えていただきました。

不動産鑑定士が教える 不動産鑑定のプロに聞く!『土地や建物の価格』はどのようにして決まる?

土地や建物には“定価”がないために、提示されている価格が適正なのか 判断が難しいもの。
土地や建物そのものが持つ条件だけでなく、景気など世の中の動きにも 影響を受けるため、
思わぬことで価格が変動するのもまた事実です。

今回は、不動産評価のプロである不動産鑑定士の先生に、土地や建物の 価格はどのようにして決まるのか、わかりやすく教えていただきました。

バリュー・ジャパン・パートナーズ株式会社 取締役 不動産鑑定士 善本かほり先生

取締役 不動産鑑定士 善本かほり先生

不動産の価格を形成する3つの要因

LECTURE1

不動産の価格を形成する
3つの要因を知っておこう

善本先生「耳慣れない言葉だと思うのですが、不動産の価格を形成する要因には『一般的要因』『地域要因』『個別的要因』の3つがあります(左図参照)。それぞれ例を挙げてお話していきましょう」

善本先生「はい。まず『一般的要因』ですが、これは3つの要因の中でも一番マクロな視点で、個別の不動産というよりは全国的な規模の話になります。わかりやすい例としては、物価や金利、税制、雇用等の経済的要因があります。特に、収益物件の価格は経済の動きに敏感に反応しますね」

消費税やローンの金利が上がると、購入予算が厳しくなるため、価格にもシビアになる…等、『一般的要因』はわが身に置き換えても納得できます(笑)。また、都心部のタワーマンションを外国の方々が積極的に購入していると報道されていますが、そのような現象も不動産の価格を左右しそうですね。

善本先生「国際化社会では、海外情勢の影響も大きく受けることになります。ちなみに、 “爆買い”として最近話題のように海外からの旅行客が増加しています。このため都市部では宿泊施設が慢性的に不足するという状況にあります。その影響で、ホテル用地として買いたいという需要が増え、地価が上昇してきている地域もあります」
「次に『地域要因』としては、例えば住宅地であれば通勤や生活面で便利な場所か、居住環境は良好か、道路や街区が綺麗に整備されているかどうか等が具体例として挙げられます」

これはわかりやすいです。人気の沿線沿いで駅まで徒歩5分、お店も充実していて街並みもきれい…等という条件なら、価格は自ずと高くなりますよね。

善本先生「便利さや快適さはもちろんですが、過去に自然災害が起きていないか、今後危険性がどの程度あるか等も重要な要素になります。近年は、土砂災害や地震に伴う災害も多いですから、われわれも鑑定の際は自治体のハザードマップを必ずチェックしています」
「最後の『個別的要因』は最もミクロな視点で、その土地や建物がもつ個々の特性のことになります。土地の場合は、道路付け、地盤、面積や形状、建ぺい率・容積率、日照や通風、インフラの整備状態、隣地の状況等です」

価格が高くなりやすい条件というのはあるのでしょうか?

善本先生「住宅地であれば、南東角地で整形地、日当たりや通風がよいとなれば、好条件ですから価格は高くなる傾向にありますね。もちろんそれだけではなく、地盤が良好か、上下水道やガス管は引き込まれているか、前面道路は十分な幅があるかなど、他の多くの要因によっても左右されます」

確かに。日当たりがよく条件がよさそうに見える土地でも、地盤が悪ければ基礎工事に多額の費用がかかりますから、その分価格を下げてほしいという気持ちになりますね。

善本先生「建物については、一戸建てとマンション、収益物件かどうかによっても異なります。これについては、次項のLECTURE2で詳しくご説明しましょう」

LECTURE2

一戸建てやマンションの価格を
左右するさまざまな要因とは

善本先生「一戸建ての建物の個別的要因としては、築年数、面積、構造、施工会社、内装や設備等の状況、メンテナンス状況などがあります」

築浅で構造もしっかりしており、耐震面も安心、キッチンや浴室などの設備もまだきれいな状態であれば、高めの価格がつきそうです。

善本先生「設備でいうと、たとえば床暖房は人気が高いのでプラスの条件となりますが、いつ頃設置されたのかは確認する必要があります。メンテナンスが必要な場合もありますので。内装でいうと、最近の多くの建売住宅の天井や内壁はビニールクロスが貼られています。ビニールクロスではなく、布クロスや塗り壁だとポイントが高いですね。一方で、あまりに個性的な外観や内観だと、いくらお金をかけた建物であっても、かけた程の金額では売れないこともあります」
「また、その建物そのものは良好な状態でも、隣に空き家の多い古いアパートがある、音が気になる施設がすぐそばにあるなどの条件で、マイナスになってしまうこともあります」

マンションの場合は、また別の要因がありそうですが。

善本先生「マンションの場合、専有部分の状態はもちろんですが、建物の外観、分譲会社や施工会社の規模、共用部のグレード、管理体制、セキュリティなどの要因があります」

エントランスやロビーがきれい、コンシェルジュがいて便利なサービスを提供してくれる等の条件が整っていると、いい価格がつきそうですね。

善本先生「マンションは毎月の管理費や修繕積立金も気になるところですが、多くの方は住宅ローンを組まれると思いますので、それ以外の固定的な出費は抑えたいのが心情だと思います。しかし、管理費などの額があまりに低いと却って不安材料となります。後々の大規模改修時に予算が足らず、その時になって急に多額の負担が必要になることもあるからです。総戸数が少なく、金額も低いケースは要注意です」

なるほど。同じくらいの規模のマンションと比較してみるといいかもしれませんね。

善本先生「ちなみに、いわゆるヴィンテージマンションはブランドが確立していて人気が高く、中古物件でも常に空き待ち状態で価格は高いです。また、古いマンションでもデザイン性の高いリノベーションをすることで、価格が上がることもあります」

建物そのものだけでなく、隣地の状況なども評価の要因になります(イメージ)

賃貸経営成功のためには、その道のプロをパートナーに持つことが大事です(イメージ)

LECTURE3

収益物件の購入にあたって
気をつけておきたいこと

善本先生「収益物件の場合、さらに別の要因が絡んできます。その名の通り“収益”を主たる目的にするわけですから、利回りが非常に重要になります」

不動産の広告によく書かれている“利回り8%”等というものですね。

善本先生「広告に出ている数字は、管理費や修繕費用、税金などを差し引く前の数字で計算している表面利回り(グロス利回り)ですから、要注意です」
「われわれが鑑定をする場合は、諸経費や税金を引いた実質収入を基に計算した、実質利回り(ネット利回り)で評価します」

ほかに、収益物件で気をつけるべき点はありますか?

善本先生「たとえば、全室を企業の借り上げ社宅として貸しているから安心とも言い切れません。企業がその地域から撤退したら、一気に空室が出てしまうというリスクがあります」
「地方の比較的安価な物件を購入するという選択もありますが、遠くて何かあった時にすぐ行けないような場所はお勧めできません。まずは、何かあったら直ぐに出向いていくことが可能な範囲にある物件にしておきましょう」

不動産投資の初心者が失敗しないためには、どうしたらよいでしょうか?

善本先生「今は、相続税対策もあり、ちょっとした不動産投資ブームになっています。しかし、健全な賃貸経営には、数十年後まで見据えた計画が必要です。目先の判断で決めるのは危険です」
「まずは信頼できる仲介会社を選ぶこと、そして、セカンドオピニオンとしてわれわれ不動産鑑定士にご相談いただきたいですね。今回お話ししたことも、実際の鑑定で扱う内容のほんの一部です。的確な判断のためには膨大な情報が必要です。ぜひ、プロの力を利用してください」

(作成日 2016年2月5日)