不動産売却・購入の三井住友トラスト不動産:TOPお役立ち情報ベテラン建築家が教える 家づくりをスタートする時の「心がまえ」

専門家がレクチャー

「マイホームは人生で最大の買い物」と言われます。
注文住宅を建てる際には、あれこれと夢がふくらみ、
憧れのイメージばかりが先走ってしまいがち。

家づくりのノウハウは世の中にあふれていますが、
その前にまず「心がまえ」を大切に、と語るのは
注文住宅を数多く設計している建築家の佐川旭先生。
これから家づくりを始める人に、
ぜひ知っておいていただきたいお話です。

ベテラン建築家が教える 家づくりをスタートする時の「心がまえ」

「マイホームは人生で最大の買い物」と言われます。
注文住宅を建てる際には、あれこれと夢がふくらみ、 憧れのイメージばかりが先走ってしまいがち。

家づくりのノウハウは世の中にあふれていますが、 その前にまず「心がまえ」を大切に、と語るのは 注文住宅を数多く設計している建築家の佐川旭先生。
これから家づくりを始める人に、
ぜひ知っておいていただきたいお話です。

佐川 旭 先生

「時がつくるデザイン」を基本に据え、「つたえる」「つなぐ」をテーマに個人住宅や公共建築等の設計を手がける。また、講演や執筆などでも活躍中。

LECTURE1

現代の家づくりは
“情報過多”で“迷いがち”

お話を伺ったのは、注文住宅を200軒以上手がけているベテラン建築家・佐川旭先生。これから家づくりを始める方向けに“家を建てるにあたっての心がまえ”についてお話しいただきました。

佐川先生「総務省の調査によれば、1996年から2006年の10年間で“選択情報可能量”つまり人々が接することの出来る情報量は530倍に増えているそうです。驚くべき数字ですね。家づくりのシーンにおいても、このような情報過多のために迷う人が増えています」

インターネットでキーワードを入力して検索すれば、読み切れないほどの膨大な情報が並んでいます。依頼先選び、間取りづくり、設備選び……さまざまな場面で、どのような基準で判断し、選んだらいいのか迷うことも多そうです。

佐川先生「“悩む”と“迷う”は似て異なります。“悩む” のは自分に判断軸がある場合で、しかるべき時間をかければ解決します。でも、自分に軸がないと“迷い”そして“決められない”。軸がないのに、情報ばかり手に入れるから、決められないのも当然ですよね」

なぜ、判断軸がない人が多いのでしょうか?

佐川先生「日本人は、きちんとした住教育を受けていませんから。“衣食住”の言葉のとおり、人間の生活の三本柱の一つであるにもかかわらず、教育の現場では軽視されていますね」

確かに、学校で“住まい”のことをじっくり勉強した記憶はないですね。そんな人たちが家づくりを始めるわけですが(笑)、どうしたらいいのでしょうか?

佐川先生「インターネットでノウハウを得ようとする前に、まずは“何のために家を建てるのか”を家族でじっくり話しあうことです。何を大切にするか、一番こだわりたい部分は何かを明確にするプロセスを経ることで、判断基準ができあがってきます」

LECTURE2

間取りは家族の集まる場所を
大切に考えよう

家族それぞれに、理想の間取りのイメージがあると思うのですが、どんな風に考えをまとめていったらよいのでしょうか?

佐川先生「住宅雑誌などでよく見かける間取り、たとえばオープンキッチンなどが最近人気のようですが……片付けが苦手な人は、オープンキッチンは不向きですよね(笑)。“憧れと実際の生活は別物”だと心に念じて、ちょっと冷静になって考えたほうがいいですね」

お風呂に入りながら星空を眺めたいから、天窓を付けたい、とか? 実際には、山の中でもない限り、そんな星空は見えないという……(笑)。

佐川先生「はい(笑)。まずは、家族の団らんの場であるリビングをどんな空間にするか、というところから考えてみましょう。私は、敷地に立ち、周りの眺めや日当たりの様子を見ながら、どのあたりにリビングを置こうかとまず考えます。そして、家族が自然と集まってくる仕掛けを考えます」

リビングは、家の中でも大切な場所ということでしょうか。

佐川先生「そうですね。家を建てる理由の中には、家族が幸せに暮らしたいという想いが込められていると思います。家族の幸せとは、心のつながりや絆を感じることではないでしょうか。これは、日常の団らんを通して培われていくものです。その団らんの場所として、リビングはとても大事になってきます」

いつも家族が集まってくるような、心地よい場所にしたいですね。

佐川先生「夏涼しく冬暖かい、窓からの眺めがいい、といった過ごしやすさはもちろんのこと、家族が自然に集まるような仕掛けも必要です。たとえば、暖炉などがいい例ですね」

その家で育つ子どもにとって家族の団らんの空間は、大人になってからも懐かしく思い出す場所になりますね。

佐川先生「心象風景という言葉がありますが、私は、家づくりとは“懐かしさをつくること”であるとも思っています。家の中での何気ない日常の一コマ一コマが、家族の心の中に懐かしさをつくりあげていくんですね」

子どもたちに幸せな心象風景を残すような、リビングをつくりたいものです(イメージ)

一生に一度の大きな買い物と言われるマイホーム。長く住み続けられる家を建てたいものです(イメージ)

LECTURE3

物理的にも、心理的にも
長持ちする家を考えよう

佐川先生「日本人は、家を手に入れることに関しては一生懸命ですが、その家に手をかけて住み続けることは苦手なようです」

欧米では、自分でペンキを塗るなどDIYが浸透していますが、日本は業者さんにお任せといった風潮がありますね。

佐川先生「実は、物理的に長持ちする家を建てることは、今の技術では難しくありません。長寿命の建物を建てることはスタンダードになって来ています。忘れないようにしたいのは、心理的に長持ちする家を建てるという視点ですね」

心理的に長持ち、といいますと?

佐川先生「たとえば家族構成は、家を建てた時と、30年後では変わっていますよね。30年後にも住みやすい間取りかどうか。もし、その時点での家族構成に合わない部分があったら、リフォームできるかどうか。そんな視点が大切になってきます」

なるほど! 30年で建て替えと言われていた時代には、問題にならなかった部分ですね。家が長持ちするようになったからこそ、出てくる問題ですね。

佐川先生「ちなみに、リフォームしやすいのは木造軸組工法です。建物を支える柱は移動できませんが、間仕切り壁はかなり自由に移動できるので、間取り変更がしやすいのです」
「また、本物を使うことも、物理的だけでなく心理的な寿命も延ばすことにつながると言えます。新建材は古くなるとみずぼらしく見えますが、無垢材は時を経て味わいが出てきます。その結果、取り替えずに長く使おうという気持ちになりますね」

マイホームを建て始める前に、知っておかなくてはいけないことはたくさんありますね。家づくりのプロにアドバイスをいただく大切さを実感しました!

(作成日 2015年9月30日)