不動産売却・購入の三井住友トラスト不動産:TOPお役立ち情報弁護士が教える 人任せ、会社任せでは失敗する!賃貸経営を始めるときに心得ておきたいこと

専門家がレクチャー

近年、相続対策や年金対策などの目的から、
賃貸住宅のオーナーになる人が増えています。
毎月の安定した収入、老後の安心など、メリットが謳われがちな
賃貸経営ですが、デメリットも理解しておきたいもの。
最近は『一括借り上げ家賃保証システム』の落とし穴に気づかず
後々泣きをみるケースが少なくないようです。

今回は、賃貸経営の法律トラブルに詳しく、
豊富な解決事例をもつ弁護士の大谷先生にアドバイスを頂きました。

弁護士が教える 人任せ、会社任せでは失敗する!賃貸経営を始めるときに心得ておきたいこと

近年、相続対策や年金対策などの目的から、 賃貸住宅のオーナーになる人が増えています。
毎月の安定した収入、老後の安心など、メリットが謳われがちな 賃貸経営ですが、デメリットも理解しておきたいもの。
最近は『一括借り上げ家賃保証システム』の落とし穴に気づかず 後々泣きをみるケースが少なくないようです。

今回は、賃貸経営の法律トラブルに詳しく、
豊富な解決事例をもつ弁護士の大谷先生にアドバイスを頂きました。

東西合同事務所 代表

弁護士 大谷郁夫先生
賃貸経営をめぐるトラブルで悩む大家さんからの相談多数。誠実な対応で依頼者から厚い信頼を得ている。著書に『ちょっと待った!!大家さん! その敷金そんなに返す必要はありません!!』(すばる舎)等。

LECTURE1

理想的な不労所得? 相続税対策?『一括借り上げ家賃保証』を謳うサブリースに要注意

相続税制改正の影響もあり、最近は住宅メーカーも積極的にアパートや賃貸併用住宅の建築を勧めているようです。また、理想的な不労所得として賃貸経営を勧める書籍も出ているようですが、うまい話はそうそう転がっていないのではと思います。先生に寄せられる相談で最近増えている事例を教えてください。

大谷先生「賃貸経営に関して一般の方が、業者の甘言に乗せられてしまうケースは残念ながら少なくありません。すでに何軒も収益物件を所有する賃貸経営のベテランの方々でしたら、懇意にしている税理士等がいるはずですから、まず心配はないのですが」

最近、テレビ番組でも、高齢者が家賃保証を謳う業者にアパート建築を勧められ、結果的にトラブルに陥るケースが増加中だと報道されていました。

大谷先生「そうですね。大家さんが建てた賃貸物件を、業者が『一括借り上げ』するサブリースで、トラブル事例が目立ちます」

『一括借り上げ家賃保証』『サブリース』という言葉はよく耳にします。大家さんにとっては、好都合なシステムに聞こえますが…

大谷先生「空室や家賃滞納のリスクがないということで、飛びつきたくなる心理もわかります。しかし、『30年一括借り上げ』等と言いますが、30年間同じ家賃を満室保証し続けるという事業が成り立つでしょうか? 冷静に考えればわかると思うのですが…。もっともらしい事業計画書を見せられると、信用してしまうようですね」

確かに、相手が名の通った企業だと、まさか問題は起こらないだろうと思いがちですよね。

大谷先生「事業計画書や賃貸借契約書をちゃんと読めば、問題点は事前に明らかになるんです。でも、一般の方が正しくチェックするのは難しい。やはり、専門家の目を通すことが大事です。誰にどのようなことをチェックしてもらえばよいか、次にお話していきましょう」

LECTURE2

税理士に事業計画書を見てもらい
経営として成り立つかどうかを判断

大谷先生「賃貸経営には、さまざまな経費がかかります。家賃収入から、それらの経費を引いて手元に残るのが、手取り金額です。主な経費には右のようなものがあります(図表参照)。このように経費は多岐に渡り、家賃がそのまま手元に残るわけではないことがわかりますね。まずは、これらの金額を具体的に見積った事業計画書を出してもらう必要があります」

大雑把な事業計画書しか出さない業者も、中にはいるのでしょうか?

大谷先生「私が相談に乗ったケースでは、税金以外の費用が計上されていなかったことがあります」

えっ! それでは正しい事業計画にはなりませんね。

大谷先生「専門家が見れば、一発で杜撰な計画書だとわかりますが、一般の方がもっともらしい書面を見せられて、そのまま信用してしまうことがあるのです。そこで私は、まずは税理士の先生に、事業計画をチェックしてもらうことをお勧めします」

そうすれば、長い目で見た事業計画が適正かどうか、判断できますね。

大谷先生「たとえば、相続税対策としてアパート経営を勧められたとします。でも、本当に“対策”になるのか? もしかすると、アパートを建てたがために、却って損をするかもしれません。そういう可能性も踏まえた上で、検討するべきでしょう」
「そして、この立地、間取り、賃料でこの先、経営が成り立つのか? 不動産としての価値や将来性をチェックするなら、不動産鑑定士の先生に見てもらうことをお勧めします」

一般の方が契約書の内容を正しく理解するのは難しいものです(イメージ)

LECTURE3

『一括借り上げ家賃保証』の契約内容は要注意 弁護士にリーガルチェックをしてもらおう

大谷先生「さて、法律的な面からもお話ししましょう。『一括借り上げ』の場合、賃貸借契約書を締結することになりますが、この内容をきちんと把握しないまま契約してしまう方が多いんです」

契約書は、馴染みのない言葉ばかりでとっつきにくく、理解しづらいんですよね…

大谷先生「でしょう? そこが落とし穴です。実は、契約書をよく読むと、契約期間は30年でも、家賃は10年経過後は2年ごとに改定等と書かれていることがよくあります。建物が古くなるに従ってどんどん家賃が下がり、それに納得できない場合は契約解除となる。そのような契約になっていることが多いのです」

なぜ、それに気づかずに契約してしまい、後から困る人が出てきてしまうのでしょう。

大谷先生「契約書の内容をきちんと理解しないまま、業者の言うメリットのみを信じて契約してしまう。これは、一括借り上げの賃貸借契約において、大家さんが貸主で業者が借主となるため、大家さんが一般の消費者のように保護されていない点にも原因があります。たとえば、不動産売買の場合、宅建業法という法律で買い手は保護され、重要事項説明を受けることになっています。しかし、一括借り上げの賃貸借契約の場合は厳しい法的な縛りはないため、きちんとした説明を受けないまま契約を結んでしまうことが起こるんです」

では、自分で自分の身を守るためにすべきことは?

大谷先生「賃貸借契約書の内容を、弁護士にリーガルチェック※してもらうことですね。弁護士会が実施している法律相談を利用したり、インターネットで不動産関連に詳しい弁護士を探して、相談してみるのがよいでしょう。最近は、初回相談は無料という法律事務所も多いですから」

※法的に妥当か、リスクがないかなどをチェックすること

それが安心ですね。契約書の内容を、一般の方が理解しきれるとは到底思えません。

大谷先生「株や投資信託と違って、賃貸経営は手間がかかるものです。面倒は避けて、業者に丸投げする人もいますが、それでは経営感覚があるとは言えません。まずは経営者としての自覚をもち、その上で税理士や弁護士といった専門家を味方につけ、納得のいく賃貸経営をしていただきたいと思います」

(作成日 2016年1月6日)