不動産売却・購入の三井住友トラスト不動産:TOPお役立ち情報弁護士が教える 最高裁判決で預金も分割対象!遺産を分割する際の協議・調停・審判は何がどう違う?

専門家がレクチャー

親にそれほど財産もなく、相続問題は自分に無関係と思っている人でも、
相続するとなるとトラブルになるケースは案外多いもの。
遺産相続に詳しい弁護士の白𡈽先生は注意を促します。
遺産を分けるための協議を行ってもうまく結論が出ず、
裁判所による調停や審判まで進むことも……。
しかも、2016年の最高裁判断で、遺産分割協議のルールも変わろうとしているのです!

弁護士が教える 最高裁判決で預金も分割対象!遺産を分割する際の協議・調停・審判は何がどう違う?

親にそれほど財産もなく、相続問題は自分に無関係と思っている人でも、相続するとなるとトラブルになるケースは案外多いもの。遺産相続に詳しい弁護士の白𡈽先生は注意を促します。遺産を分けるための協議を行ってもうまく結論が出ず、裁判所による調停や審判まで進むことも……。しかも、2016年の最高裁判断で、遺産分割協議のルールも変わろうとしているのです!

LECTURE1

遺産は分割協議が終るまで
相続人でも勝手に処分できないルール

遺産相続で遺言がある場合については前回、鷲尾先生に伺ったのですが、遺言がなかった場合の相続分はどのように決まるのでしょうか?

遺産相続で遺言がある場合については前回、鷲尾先生に伺ったのですが、遺言がなかった場合の相続分はどのように決まるのでしょうか?

白𡈽先生「遺言によらない相続は、法律に従って相続分が決まる『法定相続』となります。それぞれの相続分は以下の通りで、どういった方がご存命なのか、またその人数や組み合わせで異なってきます。法定相続人が複数の場合は共同相続人による共有状態となるため、協議を行って分割するまで、相続人の誰かが勝手に処分することなどは難しくなります」

弁護士 白𡈽 麻子 先生

2016年12月に最高裁で出された「預貯金も遺産分割の対象」という判決も、何かこれに関係することなのでしょうか?

白𡈽先生「はい。これまで預貯金は遺産分割の対象ではなく『相続の発生と同時に、法定相続のルールに従って分割される』というのが最高裁の考え方でした。このため、協議が終わっていなくても、相続人は自分の相続分を先取りすることができたのです。しかし2016年に最高裁の判決が変更され、預貯金も含めた遺産分割協議が前提となりました」

これは遺産分割にどのような影響があると思われますか?

白𡈽先生「相続分の先取りは難しくなりますが、例えば不動産と預貯金を2人で相続する場合、一方は不動産を相続して、もう一方は預貯金を相続する、といった柔軟な分割はやりやすくなるでしょう。また、生前贈与分を考慮して預貯金を分割するなどの対応にも今回の判決は役立ちます。もっとも、これまでも預貯金を含めて協議していたケースは多いので、より実情に即した形で判決が出たといえますね」

LECTURE2

協議が不調なら調停、そして審判へ
しかし結果に不満が残る場合も

遺産分割協議の流れについて教えてください。そもそも、弁護士に相談されるのはどんなタイミングなのでしょうか?

LECTURE2イメージ

冷静に確実に相談を進めていくためには、弁護士に同席してもらうことも考えてみましょう(イメージ)

遺産分割協議の流れについて教えてください。そもそも、弁護士に相談されるのはどんなタイミングなのでしょうか?

白𡈽先生「そうですね、一般的には被相続人が亡くなって、相続人の皆さんが葬儀で顔を合わせた後くらいから、相続について話し合われるようです。皆さんの思いが一致していれば話はスムーズですが、相続に強い思い入れがある相続人、そうした方が主導する話し合いに納得いかない相続人などで話が錯綜すると、遺産分割協議は長引きます。そして協議がうまく進まなくなった頃、ようやく弁護士に相談に来られるようです」

弁護士としてはどのように対応されるのでしょうか?

白𡈽先生「相続人や相続財産を確認していく流れは、遺言による相続の場合とさほど変わりません。そして、相続人の意向を聞き、どのように分ければ皆さんが納得できるのか、弁護士の提案も含めて話し合っていただきます。専門家が同席することでお互いが感情的にならず話ができることもありますし、私の場合は法律ではこうなるといった根拠を示しながらご説明して、皆さんに現状を理解していただくよう努めています」

もし協議がうまく進まないと、次はどうなりますか?

白𡈽先生「協議で解決できない場合は裁判所による調停に進みます。この段階では家庭裁判所が調整役となって、相続人同士の主張をもとに解決案の提示や助言を行い、合意を目指した話し合いを促していきます。しかし調停がうまく成立しなかった場合は、家庭裁判所での審判となります」

協議・調停・審判は、それぞれ何が違うのでしょうか?

白𡈽先生「遺産分割にどのように結論を出すか、という観点で比べてみましょう。協議では、法定相続という基本はあるものの、相続人同士が合意すればかなり柔軟な対応もできるため、それぞれの思いを反映した遺産分割も可能になると考えています。調停は、家庭裁判所が調整するため、ここまでは相続人の主張を生かして、ここから先は法律に従う……といった一定の縛りが加わってきますね。さらに審判では、法律の縛りが強くなり、相続人が思ったような分割にならないことも多いのではないでしょうか」

裁判所が関与するほど、遺産分割の自由度は低くなるのですね。

白𡈽先生「相続人同士で感情的なもつれがあると、どうしても協議から調停、そして審判へと話を急いでしまいがちです。また、相続人が各地に散らばっていたり、仕事が忙しかったりして、全員そろって話す機会がうまく作れずに調停や審判になってしまうこともありますね。しかし、審判の結果は法定相続に近いものになって、相続人のほとんどが納得していないといったケースもよく耳にします。このまま揉め続けると先々どうなるか? を意識して、譲れるところは譲るといった気持ちを持つことも大切でしょう」

財産もさほど多くないご家庭なら、あまり相続について考えなくてよいのでしょうか?

白𡈽先生「ところが、相続でトラブルが起きるのは、『財産と言えそうなのは自宅だけ』といったご家庭も多いのです。準備不足も原因でしょうし、分割して相続するためとはいえ、ご自宅を売却されるのは市場環境や相続人の感情面で難しい場合もありますから。できれば被相続人がご存命のうちに、相続人と遺産について話し合われることをお勧めします」

LECTURE3

ちょっとした知識があれば
相続時のトラブルが防げることも

協議や調停で話がまとまらない事例などを教えてください。

協議や調停で話がまとまらない事例などを教えてください。

白𡈽先生「相続人のうち一人または複数が、被相続人が亡くなるまで面倒を見ていたような場合、法定相続ではその苦労や努力を相続分に反映するのは難しいのが現状です。『寄与分』にしても適用には厳しい条件があるため、そうした部分で揉めるという話はよく聞きます。逆に、被相続人と同居していた相続人が、他の相続人から故人のお金を勝手に使ったのではないかと疑われるケースもあるようです。もし、被相続人が『自分を世話してくれた人の相続分を増やしたい』と思われるなら、遺言を作られる方がよいでしょうね」

やはり、事前の準備が大事になってくるのですね。

白𡈽先生「はい。相続には税法と民法が関係していますが、そうした分野の基本的な知識をご存じないことでトラブルが起きたり、被相続人や相続人が仲たがいする原因になったりする例はいくつも見てきました。それに、相続の条件はご家庭ごとに異なるため、専門家でない第三者の『自分の場合は……』といった体験談も、常に正しいとは限りません。やはり、相続に詳しい税理士または弁護士に相続していただくことが大切だと思います」

(作成日 2017年2月16日)