不動産売却・購入の三井住友トラスト不動産:TOPお役立ち情報不動産価格はどうやって決まる?売る前、買う前に知っておきたいこと

専門家がレクチャー

不動産には“定価”というものがないため、価格の判断が難しいですね。
いざ売買となったときに、いくらで売れるのか、買えるのか、
この値段で決めてしまっていいのか…と悩む人は多いはずです。

今回は、不動産評価のプロである不動産鑑定士の先生に、
価格にまつわる話や、取引の際に気をつけたいことを伺いました。
不動産売買を考えている方は、必読の内容です。

不動産価格はどうやって決まる?売る前、買う前に知っておきたいこと

不動産には“定価”というものがないため、価格の判断が難しいですね。
いざ売買となったときに、いくらで売れるのか、買えるのか、
この値段で決めてしまっていいのか…と悩む人は多いはずです。

今回は、不動産評価のプロである不動産鑑定士の先生に、
価格にまつわる話や、取引の際に気をつけたいことを伺いました。
不動産売買を考えている方は、必読の内容です。

取締役 不動産鑑定士 善本かほり先生

不動産の取引価格、地価公示・都道府県地価調査の価格を検索できる、国土交通省のウェブサイトです

LECTURE1

土地の価格は4つある?
土地評価の基本を知ろう

今回お話を伺ったのは、不動産鑑定士として長いキャリアをお持ちの善本かほり先生。さっそくですが、一物四価と言われ素人には分かりづらい“土地の価格”の決まり方についてお聞きしました。

善本先生「確かに土地は一物四価などと言いますが、その大本になるのは“時価”なんです。実際に、世の中でいくらで取引されているかがひとつの判断基準とされて、公示価格や相続税路線価などが決められているんですよ」

ここで、土地の4つの評価(価格)についておさらいしておきましょう。

①時価
実際に市場で取引されている価格で、実勢価格とも言います。不動産に限らず、売り手の希望価格(供給)と買い手の希望価格(需要)が一致して初めて取引は成立します。『不動産の時価』や『不動産の実勢価格』という場合には、通常は、特殊な事情の下で行われた取引で成立した価格は除きます。特殊な事情とは、例えば事情があって急いで売りたい人に対して買い叩いた場合や、特定の買い手の事情により何がなんでも手に入れたいと考えた場合等を指します。
なお、特定の法律内で『時価とは』と定義されて、その法律内の用語として『時価』が使われているものもあります。
②公示価格
国土交通省が毎年1月1日時点の土地の価格を算定した価格。一般の土地取引の指標とされています。同じようなものに、毎年7月1日時点の土地の価格として都道府県が示す都道府県地価調査基準地価格があります。
③相続税路線価
相続税や贈与税の課税のために、国税庁が毎年1月1日時点の土地を算定した価格。一般的には時価のおよそ80%程度。
④固定資産税評価額
市区町村が土地や建物の固定資産について算定した価格。固定資産税や不動産取得税などの基準となります。この評価額は3年ごとに見直しが行われ、土地については一般的には時価の70%程度です。なお、建物については、総務大臣の定める固定資産評価基準によって算出されています。

善本先生「時価と公示価格は、土地の価格としてはほぼ同じ水準と考えていいでしょう。実は、国土交通省では、実際に不動産を購入した人にアンケートを実施し、そのデータを公示価格の参考にしているんです」

アンケートですか? 意外とアナログな方法で調べているんですね。

善本先生「そうですね(笑)。このアンケートのデータは、個人情報保護の観点から物件が容易に特定できないように加工した上で、ウェブ上で公表されています(コラム『土地総合情報システム』参照)。たとえば“○○駅近辺の物件が実際にいくらで売買されているか”をサイトで検索できます。そして、その売買された物件は土地だけなのか、建物と土地とセットなのか等もわかりますから、相場観を養えます」

このサイトは便利ですね。予算内でどんな家が買えそうか、あるいは、自分の家や土地がいくらで売れそうか、参考になります。

善本先生「私たち不動産鑑定士は、国土交通省によるアンケートや信託銀行や仲介会社にリサーチしたデータをもとに、不動産の鑑定評価を行い公示価格の決定に関わっています」

LECTURE2

不動産の価格を左右する、
さまざまな要素

不動産の価格は、景気動向や周辺環境などによって左右されるなど、変動が大きいという印象があります。不動産の価格を形成する要因には、どのようなものがあるのでしょうか。

善本先生「ちょっと鑑定用語的で小難しい表現ですが、『一般的要因』『地域要因』『個別的要因』の3つに大別されます。『一般的要因』の中で分かりやすいのは、経済的要因ですね。たとえば、物価や雇用情勢、金利や株価の状況等です」
「『地域要因』は、その物件がある地域や周りの地域の特性、たとえば住宅地なら交通の便。これには、商業施設・学校等への距離も含みます。他に道路の幅、インフラの整備状況やいわゆる「外観上の環境」等ですね。」
「『個別的要因』は、その不動産自体がもつ個々の特性です。土地と建物に分けて考えます。宅地であれば、土地の面積や形状、行政的条件(建ぺい率・容積率等)、道路付け、日照や通風、隣接地の状況等ですね。建物は木造なのか、鉄筋コンクリート造なのか等の構造、広さや建築後の年数、内部の設備等の性能、維持管理の状況等が挙げられます。大手メーカーが建てた建物は高い値段がつきやすい等の傾向もあります」

不動産自体がもつ、さまざまな条件を見るわけですね。確かに、景気がいいときは地価も高いとか、駅に近いほど物件価格も高い傾向にあるとか、実感できる要因も多いです。

善本先生「そうですね。ちなみに意外かもしれませんが、デザインに凝ったこだわりの住宅は、建築費をかけている割に高く売れないということがあります。一般的でないものは、買い手がつきにくいんですね」

なるほど。せっかく高いお金をかけて建てたのに残念な気がしますが…。変わった色の車よりも、白やシルバーなどの車の方が流通しやすいのと同じことでしょうね。
ところで、善本先生が不動産の評価をする際には、実際にその場に足を運ぶのでしょうか?

善本先生「はい、もちろんです。今日はスーツを着ていますが、お客様と同行しない時にはもっとラフな格好で現場にいることもあります(笑)。現地や役所等に出向いて調査をし、写真を撮ったり、道幅や、道路や隣の土地と接している長さを測ったりします。歩きながら距離が測れるウォーキングメジャーや巻尺など、重い道具も多いんですよ」

土地の価格は、面積だけではなく、周辺環境などさまざまな要因によって決まります(イメージ)

見た目は普通の道路でも、安心できない!? 不動産取引の際は、プロによる調査が不可欠(イメージ)

LECTURE3

これだけは知っておこう!
『道路付け』と『再建築不可』

素人からすると、不動産は分かりにくくてちょっと怖いという印象もあります。初めて不動産売買をする方に向けて、先生のご経験から何かアドバイスはありますか?

善本先生「さきほどの話に出た土地の『個別的要因』の中で一つ、詳しくお話ししておきましょう。『道路付け(どうろづけ)』についてです」

道路付け(どうろづけ)…あまりなじみのない言葉ですね。

善本先生「敷地とその敷地が面している道路との関係を表したもので、接道条件とも言います。不動産の広告などでも、道路が接している方角と、その道路の幅員を併せて表示されているのをご覧になったことがあるかと思います。『南4m市道』とかこの道路付けによっては、建物を再建築できない場合があります。今は建物が建っていても、建て替えが許可されないことがあるのです。建て替えができない場合には、売ろうと思ってもなかなか売れない、格安でしか売れないということになりがちです」

なぜ、再建築ができなくなってしまうのでしょうか?

善本先生「安全な建物を建築するために定められた、建築基準法という法律があります。この建築基準法上で『道路』とされている道路に2m以上接していない土地は、原則として建物を建てられないことになっています。ですので、一見条件を満たしているようでも、実は道路と認められていないので建築ができないこともあるのです」

見た目は普通の道路でも、法律上は道路として認められないことがあるんですね。

善本先生「きちんとアスファルト舗装されていても、安心はできません。法務局で道路となっている土地の所有者を確認し、市役所や都道府県等の建築を指導する係で、『建築基準法上の道路』となっているかどうかを確認することが非常に大事です。私たちも、細心の注意を払うポイントです」
「たとえば普通の道路に見えても、調査の結果、水路だったことが判明し『道路に面していないので再建築不可』ということがあります。昔は今ほど行政も厳しくなかったので、たまたま普通に家が建てられたのでしょう。今はそうはいかないので要注意ですね」

見た目ではわからない重要な事柄が、不動産には潜んでいるのですね。やはり、プロの目を通すことが大事ですね。

(作成日 2015年5月22日)