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住み手がいないまま放置された空き家は、今や社会問題となり、
2015年5月『空き家対策特別措置法』(空家等対策の推進に関する
特別措置法)が完全施行されるに至りました。

たとえば、親が地方在住で自分は首都圏の持ち家に住む人ならば、
将来、実家が空き家になる可能性が高いかもしれません。
今回は、不動産関連の法律に詳しい弁護士・瀬川徹先生に、
『空き家対策特別措置法』について伺いました。

あなたの実家は、大丈夫? 『空き家対策特別措置法』を知っておこう!

住み手がいないまま放置された空き家は、今や社会問題となり、 2015年5月『空き家対策特別措置法』(空家等対策の推進に関する 特別措置法)が完全施行されるに至りました。

たとえば、親が地方在住で自分は首都圏の持ち家に住む人ならば、 将来、実家が空き家になる可能性が高いかもしれません。
今回は、不動産関連の法律に詳しい弁護士・瀬川徹先生に、 『空き家対策特別措置法』について伺いました。

瀬川 徹先生

瀬川徹法律事務所

弁護士瀬川 徹 先生

昭和51年弁護士登録 著作に「判例が教える不動産トラブル解決法」(住宅新報社)等。東京地裁調停委員、東京地裁鑑定委員。

LECTURE1

“特定空家等”と認定されれば、
固定資産税の軽減もなくなる?

今回『空き家対策特別措置法』についてお話を伺った、弁護士の瀬川徹先生。不動産業界団体の講演会・研修会の講師、宅地建物取引士法定講習会の講師及び民事調停委員・鑑定委員として不動産取引の紛争の処理や調停等不動産に関する法律に詳しく、政府の審議会委員としてもご活躍です。

最近、雑誌などで“親の家を片づける”“実家をどうする”といった特集をよく見かけます。少子高齢化、都市部への人口集中と地方の過疎化など、さまざまな要因はあると思いますが、やはり空き家は増えているのでしょうか?

瀬川先生「総務省によれば、全国の空き家数は820万戸、空き家率(総住宅数に占める割合)は13.5%と過去最高でした(総務省統計局『平成25年住宅・土地統計調査』)。約7軒に1軒が空き家になっている計算です」

相続などで世代交代した家が、住み手がいなくて空き家になってしまうことも多いのでしょうね。

瀬川先生「ここまで空き家が増えた原因の一つとして、土地の固定資産税評価があります。たとえ空き家であっても建物が建っていれば、更地よりも土地の評価は下がり、固定資産税が安くなるのです。そのため、今まではあえて取り壊さず、そのままにするケースが一般的でした」

古家を解体・撤去するだけでもお金がかかりますしね。

瀬川先生「そこで、2015年5月26日に『空き家対策特別措置法』(空家等対策の推進に関する特別措置法)が完全施行されるに至りました。市町村の調査で“特定空家等”と認定されれば、指導・勧告・命令などが出されます。もしも所有者が命令に従わない場合、行政代執行の方法により強制執行も認められます。さらに、勧告の時点で固定資産税の軽減特例も解除されることになります」

“特定空家等”とは、どのような状態のものを言うのでしょうか?

瀬川先生「そのまま放置すれば、倒壊などの危険があるもの。ごみの放置などで衛生上有害なもの。適切な管理が行われておらず、著しく景観を損なうもの。その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切なもの。このような空き家を“特定空家等”と定義しています」

人が住まなくなった家は傷みが早いと言われますが、残念ながら、長年放置したままの空き家がそのような状態になるのは、珍しいことではないかもしれませんね。

維持管理にもお金がかかる…実家の空き家問題に悩む人は少なくありません(イメージ)

LECTURE2

実家を“ゴミ屋敷”にしないために…
相続放棄という方法も

都市部など地価の高い場所であれば、解体費用をかけても売却益を得られますが、そうでなければ放っておいた方が得。今まではそれが通用しましたが、これからはそうもいかなくなります。もしも、実家が“特定空家等”に該当してしまったら…と考えると不安ですね。

瀬川先生「住んでいなくても、定期的な維持管理を行っていれば問題のないケースも多いと思います。でも、何年も様子を見ていない場合は、ゴミが不法投棄されたり、知らないうちに不審者が侵入していたり、最悪の場合は放火などの事件に巻き込まれる可能性もあります」

“割れ窓理論”のように、誰かが庭にゴミを投げ入れたのを放置していたら、いつの間にかゴミ置き場に…。実家がそうなっていたら、ショックですね。

瀬川先生「そのような空き家は周辺にも悪影響を及ぼしますから、修繕や撤去の指導や勧告、命令ができるようになりました。もしも命令に従わなかった場合、行政が強制的に撤去して、かかった費用を持ち主に請求できる“代執行”も可能になったんです」

空き家になった実家のことは気になっているけれど、今の家の住宅ローンで手いっぱいで、解体費用を払う余裕はない。そんな場合はどうしたらよいのでしょうか?

瀬川先生「空き家対策は行政の重要課題ですから、撤去費用の補助を出してくれる自治体もあります。まずは問い合わせてみましょう」
「また、死亡を知った日から3ヵ月以内であれば、家庭裁判所に相続人全員が相続放棄を申し立て、相続財産管理人を立てるという方法があります。ただし、空き家以外の預貯金等に関する相続権もすべて失うことになります。相続財産管理人が相続債権者等への弁済や特別縁故者への分与後に残った空き家等は、国のものになります」

なるほど。死亡を知った日から3ヵ月以内ということは、すでに親が亡くなって長年放置している実家には適用できませんね。今後、相続の可能性がある人は、覚えておきましょう!

将来“特定空家等”にならないように、実家の行く末について早めに話し合いをしておきたいもの(イメージ)

LECTURE3

“空き家バンク”制度などを利用して、
活用するという手も

まだ十分に住める状態の実家を、空き家のままにしておくのは忍びないし、もったいないと感じている人も多いと思います。将来リタイアしてからUターンはありえるとしても、今すぐには住めないというのが現実だと思いますが、せっかくの建物を活かすいい方法はないのでしょうか。

瀬川先生「たとえば、地方自治体を中心とした“空き家バンク”という制度があります。遊休不動産の有効活用や地域の活性化を目的として、所有者と居住希望者のマッチングを行う制度です。ニーズが合えば賃貸住宅として貸し出したり、売却することができます。多くの自治体でこの制度が導入されていますので、まずは実家のある地域で確認してみるといいでしょう」

自治体の職員が、現地見学の手配をしてくれることもあるそうですね。その地域のことをよく知っている自治体が、仲立ちをしてくれるという点に安心感があります。ただし、自治体が仲介業者と同じ責任を負担するとは限りませんので、注意も必要です。

瀬川先生「敷地にも建物にもゆとりがある場合は作業所やSOHOに、あるいはシェアハウスとして貸し出すなどの選択肢もあるようです。改修のための補助金を出してくれる自治体もあります」

なるほど! そのように活用してもらえれば、家もうかばれますね(笑)

瀬川先生「空き家管理サービスを行う企業やNPO法人も増えています。それだけニーズがあるということでしょう」

定期的に換気をしてくれたり、セキュリティシステムで監視してくれれば、遠方の空き家でも安心できますね。でも、やはり家は住む人あってのものと感じます。近い将来空き家になりそうな実家があるなら、兄弟姉妹や親戚と早いうちから話し合っておき、いざというときに宙に浮かないようにしたいものです。

(作成日 2015年11月24日)