治安が良い国、
自然災害の少ない国って、一体どこ?

治安・防災

どの国、地域で暮らしていくにも、安全・安心はまさに生活の基盤となるものです。世界の中でも治安がよいとされる一方、自然災害の発生率が高い日本。それとは逆に、地震にも台風にも縁がないものの、犯罪、テロなどの発生件数が日本より多い国や地域もあります。「大人未来ラボ」第3回目は、各国の治安・防災事情をレポートします。

「治安が良い」と実感しやすい国は?

最初に、それぞれの国(地域)の治安について、住んでいる皆さんがどう感じているかを率直にお答えいただきました。

「良い・良い方」との回答があったのは、オーストラリア、ニュージーランド、香港。イタリアからは、「良くも悪くもない」との回答が寄せられました。

テロの危険と隣り合わせなので治安がよいとはいえませんが、私自身が住んでいる地区はパリの中でも特に治安がよいところです」(フランス)

治安の良し悪しについては、人それぞれ感じ方がさまざまなので、明言するのは難しいですね……。日本から見ると、今のヨーロッパはテロの影響もあり、治安が悪いと思われるかもしれませんが、人々は普通に暮らしています。私自身、ドイツは比較的治安が良いと感じています」(ドイツ)

割と良いと思われがちですが、実は治安はそれほど良くありません。テロもあり、スリなどの被害も多く、気を許せないです」(スウェーデン)

治安は良くなりつつあるものの、悪い地域もまだあり、気をつけて暮らさなければなりません」(アメリカ)

スウェーデン、アメリカ(ニューヨーク)は、治安の面では少々不安があるようです。また、フランス、ドイツなどは本来なら治安の良い国々といえるはずが、世界的に広がりを見せるテロの影響が暗い影を落としています。

欧米以外のエリアであるオーストラリア、ニュージーランド、香港に関しては、少なくとも今のところは、住んでいる人が治安に不安を感じている様子はありません。

日本並みの治安が期待できそうなのは香港

それでは、住んでいる皆さんは、その国、地域のどんなところに、治安の良さ・悪さを感じているのでしょうか? 具体的な事例なども挙げていただきました。

まずは、比較的、治安の良いところから。

夜中過ぎに、女性が1人でタクシーに乗ったり、歩いたりしても、特に問題は起こりません」(香港)

窃盗などはそれなりに多いですが、銃が規制されていることもあり、重犯罪は比較的少なく感じられます。シドニーの街中では、警官が随時パトロールをしていますね」(オーストラリア)

基本的に日本と同じ感覚で過ごせますが、置き引き、車上荒しは多く、車内の見えるところに荷物は置いておけません」(ニュージーランド)

治安が良いと感じられる国でも、油断は禁物のよう。あらためて日本がいかに治安の良い国であるかを思い知らされます。

一方、治安に不安のある国々では……?

地下鉄やバスの車内など、混雑した場所には、スリがいます。ぼんやりしていると、日中・夜間を問わず、狙われることに。夜の女性の一人歩きなどは、場所を選べば、大丈夫です」(イタリア)

パリは地区によって治安の良い区、あまりよくない区に分かれ、特にパリ近郊の治安の悪い地区は日中でもひとりで歩くのが怖いです。私が現在の住んでいる地区は、夜中までレストランやカフェが開いており、観光客も多いため、女性が一人で歩いても問題はありません。また、地区に関係なく、テロはいつどこで起きるのか予想がつきませんが、あまり気にしすぎないようにしています」(フランス)

私自身、ストックホルム市内で置き引きにあい、今の自宅も泥棒に入られそうになりました。知人にも、被害者が結構います。また、国内だけでなく、ヨーロッパ全土にわたって行われる組織犯罪もあり、警察が十分に対応しきれていないのが不安です」(スウェーデン)

去年、大都会の真ん中で爆発騒ぎがあったばかり。ニューヨークはテロの標的になりやすい街という認識は常に持っています」(アメリカ)

こうしてみると、スリや置き引き、窃盗などについては、ほとんどの国で注意が必要であることがわかります。そして、犯罪に結びつきやすい場所、地域をできるだけ避けて行動するのが、自分の身や財産を守るためのポイントの1つといえそうです。

スウェーデン、オーストラリアは自然災害が少ない

治安に関しては、程度の差こそあれ、ほとんどの国が日本よりも良くありませんでした。一方、防災についてはどうでしょう? 日本は、地震、台風などにより毎年のように被害が出る自然災害大国。そもそも、ほかの国も、自然災害に見舞われることがあるのでしょうか?

日本並みの大きな地震に見舞われた経験があるのは、今回調査した国々の中でわずかに2カ国。

地震が多く、近年にはかなり大きな地震もありました。日本に比べて建物の強さが足りない印象ですが、その地震後にはクライストチャーチでも耐震基準が厳しくなりました」(ニュージーランド)

地震があります。私の住んでいるところも含め、耐震性のある建物が少ないので、心配です。暴風雨時には、排水が悪いため、道がまるで池のようになりますが……地元の人はボディボードを持ち出して楽しむことも(笑)」(イタリア)

ヨーロッパで最も一般的な自然災害といえば、洪水なのかもしれません。

セーヌ川の洪水に関しては、水位が上がった場合に水を移動させる人工貯水タンクがつくられ、水位を低く抑える対策がとられています。セーヌ川沿いに建つルーブル美術館では、セーヌ川の水位が通常より6cm高くなると閉鎖され、地下の保管室にある美術品を上階や、別の場所に移動するそうです。セーヌ川のすぐそばにアパルトマンを借りていますが、不動産屋との契約書の中に、洪水の際には浸水する可能性がある地区に含まれていることなどが記載されていました。それ以外、フランスのほかの地方に比べても、パリは自然災害の影響の少ない街です」(フランス)

私の住んでいるデュッセルドルフはライン川沿いの街なので、可動式の壁など、洪水に対する備えがあります」(ドイツ)

一方、台風やハリケーンなどの強烈な暴風雨に襲われるのが、アジア、アメリカの諸地域。

台風や大雨に対する警報があり、発令されれば、学校や会社が休みになります」(香港)

ハリケーンが接近すると、スーパーには長蛇の列が。市長が記者会見を行い、すぐに緊急事態宣言を行うため、天災が発生した場合の対応は迅速です」(アメリカ)

大きな自然災害とはあまり縁のない国もあります。

地震はありません。暴風雨はたまに発生しますが、洪水を引き起こすほどではないです」(オーストラリア)

地震がないのは、いいなあと思います。暴風雨は時々起きますが、洪水はあまりなく、そういった緊急事態に備えるという姿勢や習慣がありません。東日本大震災が起きたときには、『日本人は、なぜ逃げる場所がわかるの? 避難場所を知っているの?』と、同僚たちに聞かれました」(スウェーデン)

自然災害の発生は地理的要因に大きく左右されることもあり、国や地域によって事情が大きく異なるようです。

自然災害よりも恐れられているのはやはり……

治安の悪化や、自然災害の発生を完全に防ぐのは難しいでしょう。それでも、何らかの備えがあれば、暮らしていくうえで安心です。それぞれの国や地域の治安・自然災害への備えについて、さらにくわしく聞いてみました。

まずは防災に関して。

パリに限れば、地震はなく、その対策はありません。災害時のための非常食の準備などを備えている人も周りにはおらず、地震以外の災害に対しても危機感は少ないように感じます」(フランス)

地震がない国なので、防災に関してはあまり意識がありません。避難所を確認するという感覚や、地域で連携をとるといったこともありません。年に数回、自宅に確保しておくとよい食料品などの確認を推奨するテレビ放送もありますが、一般的に意識は低いです」(スウェーデン)

こうした意識の低さは、地震のない国に特有のものかといえば……。

地震国にもかかわらず、建物自体が古く(数百年レベル)、耐震構造になっていません。また、避難場所や避難経路なども、地域的な取り組みもほぼないので、有事の際の不安があります」(イタリア)

同じ地震国でも、日本とはずいぶん事情が異なるようですね。

しかし、自然災害ではない、まさに現代的な脅威に対しては、各国とも備えを進めています。

ここ数年多発しているテロの影響で、街中でも警察官の姿をよく見かけるようになりました。特に不特定多数が集まるイベントなどが行われる際には、警察や警備会社による巡回、警備が徹底されています。屋外イベントの会場では、車両による犯罪防止のためのバリケードも見られます」(ドイツ)

以前は学校、会社での防災訓練および避難訓練はほとんど行われていませんでしたが、2015年のパリ同時多発テロ事件以降、学校での避難訓練が義務化されました」(フランス)

学校では、テロと火災に備えた避難訓練は行います」(スウェーデン)

テロに限らない犯罪への備えについても、見ておきましょう。

交番がない代わりに、常に警察かカラビニエリ(憲兵)が巡回しています」(イタリア)

スウェーデンの警察は、いわゆる警察と交番勤務程度の業務に就く警察の2形態に分かれています。後者は日本の警備員よりは行使できる範囲は広く、主に公共の場の秩序を守るのが役目です。休暇で家を空ける際には、近隣住民で伝えあって、留守の家を警察に気にかけてもらえるように手配することもあります」(スウェーデン)

かつては危険な地域もあったので、今でも街中でパトロールに当たる警察官の数は日本より圧倒的に多いです。アメリカ人は基本的に困っている人を見かけたらすぐに声をかけることもあり、何かあったらお互いに助け合うイメージがあります。また、子どもを守るために、『子どもは9歳まで独り歩きをさせてはいけない』というルールもあります」(アメリカ)

まだまだあります!治安・防災のあれこれ

バスに財布を忘れましたが、何も取られずに戻ってきました」(香港)

実体験として、以前にシドニーのカフェで人質立てこもり事件があった際、自分の会社が入るビルと事件現場までは1km弱離れているにもかかわらず、ビルの管理マネージャーより連絡がすぐに入り、ビルを閉鎖し、社員以外の外部の人間の出入りはできないように立ち入り禁止措置が取られるなどしたことがあり、危機管理体制もしっかりしていると感じます」(オーストラリア)

軽犯罪が多いため、通報しても警察があまり真剣に取り合ってくれないという話をよく聞きます。実際に職場の上司が置き引きの被害にあったとき、すぐにクレジットカードを使われ、被害が出たにもかかわらず、捜査はなかなか始まりませんでした」(ニュージーランド)

パリやパリ郊外のアパルトマンは、建物が古いという理由だけでなく、電気やガスの定期点検や修理が行われていないことから、災害が起きたり、その被害がさらに大きくなったりする場合があります。ほとんどのアパルトマンに火災警報器が設置されていませんでしたが、2015年3月から義務化されました」(フランス)

ここ数年、気候に変化が見られ、雨が多く降るようになりました。そうすると、下水の水の処理などがうまく回らず、床上浸水することがあります。私の家も、その被害にあいました。温暖化の影響は、やはりここでもあると感じられます」(スウェーデン)

治安・防災、それぞれの国や地域に安心できるところ、備えが十分でないところなどがあるものです。旅行に出かけたり、移住を検討したりする際には、実際に住んでいる皆さんからの今回のレポートもぜひご参考にしてください!

TOPにもどる

トップへ戻る